ジヤトコ社のプロジェクト推進室の中野晴久主管によると、ジヤトコ社はすでに、世界的にはGMにCVTを提供している。中国市場でも、国産の自動車メーカーの一部と協力し、彼らへのCVT供給が検討されている。「私達のCVTの品質が絶対的に信頼できるものだということを消費者に知らせなければならない。私達は、中国メーカーと連携して、自動車産業全体で統一の基準を形成し、品質の制御をさらに高めることを決めた。消費者にもこのことを知ってほしい」
中国の自動車ATの標準化事業の展開に日産は参加し始めている。ジヤトコ社のCVT分野での発言権は言うまでもなく、もしも日産が一歩先を越せば、中国の技術路線に影響し、CVTの市場シェアを大幅に拡張し、さらには流行のデュアルクラッチトランスミッション(DCT)にまで手を伸ばすことになる。この目的が達成されなくても、日産は、AT標準への提案の権利を拡大することになる。市場独占が取りざたされているアイシン社は、分が悪いと見られている。
現在、ほとんどの国産自動車メーカーは、ATの自主開発能力を備えておらず、国際的な部品メーカーからの大量調達を余儀なくされている。ジヤトコ社にせよ、アイシン社、ZF社にせよ、これらのメーカーは強大な技術力を持ち、こうした技術が中国側に開放されることはあり得ない。だからこそ中国のトランスミッションの基準制定は、国内の自動車メーカーによる決定ができない。
中国のAT産業は現在、試練に遭遇している。日産またはそのほかの国際企業が標準制定を主導していることに疑問を呈することはできても、コア技術が欠けているために、現状を変えることができない。解決の道はないのか。
世界の3大トランスミッション企業の発展過程からは、これらの企業がいずれも各自の強みを持ち、代替不可能であることがわかる。このことは私達に大きなヒントとなる。中国のトランスミッション産業の発展は、技術路線を制限して突き進んだ新エネルギー車のような過ちを繰り返してはならない。主管部門が過度な干渉をせず、企業の自由な活動を奨励し、自らに適合した技術方案を発展させれば、中国がいつか、アイシンのような企業を自国で生むことも不可能ではなくなる。(編集MA)
「人民網日本語版」2014年7月18日