範長竜・中央軍事委員会副主席は先日オーストラリアを訪問した際、中国、オーストラリア、米国が10月にオーストラリアで合同軍事演習「コワリ」を実施することをジョンストン豪国防相と共同発表した。(文:李顕栄・国防大学准教授。人民日報海外版「コラム」望海楼掲載)
発表時には合同軍事演習「リムパック2014」がまだ実施中で、中国海軍が米国主導の軍事演習に初めて参加していた。オーストラリアもリムパック参加国の1つだ。今年秋に実施される中米豪の合同軍事演習は規模ではリムパックとは比べようもないが、そこから見えてくる積極的意義はやはり注目される。
第1に、これは新型の大国関係の構築過程において、アジア太平洋地域の大国である中米豪が新たな分野を開拓しつつあることを示している。国家間の軍事交流は国家間の関係を推し量る重要な目安の1つだ。中国、オーストラリア、米国は共にアジア太平洋地域の大国であり、地域の平和・安定維持に間違いなく決定的な影響を及ぼす地位にあり、その役割を担っている。新型の大国関係の構築は、政治、経済、文化分野の協力・交流だけに表れるのではなく、軍事的相互信頼も組み込むのが当然だ。
軍事的相互信頼はある程度において、共同発展に尽力する国家間の誠意をより物語るとさえ言える。まさにこの意義において、ジョンストン国防相は今回軍事演習について合意したことを、3カ国の国防協力における「重要な一里塚」と称賛したのかも知れない。ジョンストン国防相は「この措置によって相互信頼の強化と地域の安定に向けて協力するとの3カ国の決意が力強く示された」と語った。
第2に、これは中米豪関係が新たな歴史的段階を切り開いたことを意味しており、地域情勢の均衡にプラスだ。オーストラリアと米国は長年にわたり緊密な軍事協力関係にある。特に米国のアジア太平洋軍事戦略配置において、オーストラリアは戦略の支点と見なされており、アジア太平洋リバランス戦略における重要な一部だ。合同軍事演習「コワリ」は中国軍にとって初めてオーストラリアで参加する演習、初めてオーストラリア、米国両部隊と合同実施する歩兵演習となる。これは中豪両国がより深いレベルでの軍事交流・協力を引き続き行ううえで助けとなる。