長らく赤字の泥沼に沈んでいるソニーは、自分を助けるための思い切った方法をあれこれと模索している。業務の一部を切り離したり、世界規模でリストラを敢行したり、東京のビルを売り払ったりしているが、今回は株式市場から撤退するという戦略に打って出た。取引量が少ないこと、コスト削減を理由として、44年間上場した英国・ロンドン証券取引所からの撤退をこのほど決定したのだ。実際のところ、これで節約できるのは毎年わずか9万8千ドル(1ドルは約102円)の手数料に過ぎない。「北京商報」が伝えた。
▽株式市場での業績は惨憺たるもの
ソニーのスポークスマンによると、「取引量が少ないため、ロンドン証券取引所に上場し続けることに、経済的な合理性はなくなった。そこで8月29日前後に正式に撤退する予定」という。
ソニーは1970年にロンドン証券取引所に上場し、今年で44年目を迎える。目下、同取引所での年間取引量は東京証券取引所での取引の1%に過ぎないが、上場し続けるには年間1千万円(約9万8千ドル)前後の手数料が要る。こうした状況の下で、ソニーはロンドン資本市場からの撤退を選択し、コスト削減と資金の節約をはかることにした。
ソニーによると、同市場からの撤退後も、東京と米国・ニューヨーク証券取引所での取引は続ける。だがソニーの株価は低下を続けており、時価総額は2000年の1250億ドルを最高として、現在は180億ドル前後まで低下している。
市場撤退モデルが動き出すのと同時に、ソニーは6月30日を末日とする2014年度第1四半期(4-6月)の財務報告を発表した。純利益と営業収入はいずれも前年同期比増加したが、通年の赤字局面を転換できてはいない。ソニーの予測によれば、14年度(14年4月-15年3月)の純損失は5千億円前後になるという。
▽自己救済の歩みが遅すぎる