中国人民解放軍海軍は12月4日以降、年度訓練計画に基づき、艦艇と航空機を西太平洋海域に派遣して遠洋訓練を実施している。この通常の訓練について、中国国防部(国防省)報道事務局は実施前の12月3日に関連情報を対外公表した。中国は12月12日にも、今回の訓練は国際法と国際的慣例に沿ったものだと改めて表明した。(文:張軍社・海軍軍事学術研究所研究員。人民日報海外版コラム「望海楼」掲載)
だが中国海軍のこのオープンで透明かつ国際法と国際的慣例に沿った正常な訓練活動に対する日本側の反応は、適応できず不適切なものだった。4日以降、日本側は繰り返し艦艇や航空機を派遣して中国海軍の艦艇や航空機に対して接近追跡、偵察、妨害を行っているほか、いわゆる「中国軍機が日本領空に進入する可能性があることから、航空自衛隊が戦闘機を緊急出動」とのおどろおどろしい情報、および中国側艦艇・航空機の大隅海峡、宮古海峡、宗谷海峡、対馬海峡通過を日本側艦艇・航空機が追跡する写真を繰り返し発表するとともに、日本メディアにネタを与え、「中国の脅威」を公然と騒ぎ立て、誇張している。
他の国々の海軍と同様、中国海軍には遠洋訓練によって遠洋行動能力を強化する必要がある。中国海軍が遠洋行動能力を強化するのは、まず国の主権、安全および領土の一体性を守るという使命と任務をより良く達成するためであると同時に、遠洋協力能力を強化して、中国が責任ある大国として引き受ける国際的な責任と義務をより多く、より良く履行するためでもある。中国海軍がすでにアデン湾とソマリア沖で6年間にわたる護送任務を遂行してきたことが、このことを良く物語っている。
中国海軍艦艇・航空機による西太平洋海域での遠洋訓練の合法性、正当性、必要性を日本側は十分に分かっている。中国海軍艦艇・航空機に対して妨害を行い、騒ぎ立て続けるのは、利己的な目的のためだ。
第1に、冷戦思考が災いして、中国海軍をいわゆる「第一列島線」内に封じ込めようと愚かにももくろんでいる。「列島線」という概念は冷戦時代の米ソ対立の産物であり、米国人ダレスが打ち出したものだ。このうち第一列島線はソ連などの国々の軍事力を封じ込めることが大きな目標だった。冷戦終結後、米国は中国海軍の西太平洋での遠洋訓練に対して割合理性的な姿勢を取ってきた。ロックリア前米太平洋軍司令官は、すでに世界大国となった中国海軍が遠洋へ向かうのは「自然な事だ」と述べた。だが日本は依然として第一列島線を中国海軍の発展を封じ込める「城壁」と見なしており、「列島線問題」を騒ぎ立て続けている。