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【第146回】職務発明創造及び職務作品の権利帰属

<中国法教室>

人民網日本語版 2014年11月28日11:16

今回、職務発明創造及び職務作品の権利帰属について、説明しておく。

一、職務発明創造

1.現行法令に基づき、(A)所属単位の任務を遂行するために、完成した発明創造、または(B)所属単位の物質的、技術的条件を主要利用して完成された発明創造は、職務発明創造になる。上記(A)にいう所属単位の任務を遂行するというのは、主に以下の3つの情状を挙げられる。

(1)職務遂行中に行った発明創造、(2)所属単位から与えられた本来の職務以外の任務遂行中に行った発明創造、(3)離職、定年退職または転職後1年以内に行った、旧所属単位で担当していた職務または旧所属単位から与えられた任務と関連のある発明創造

例えば、某社技術部の技術開発人員の本職業務内容が技術開発であり、その日常技術開発中に完成した発明創造は職務発明創造(上記情状1)になる。当該技術開発人員が他社設備への修理を所属単位に命じられ、修理中に完成した発明創造(方案)も職務発明創造(上記情状2)になる。上記情状(3)の立法主旨は、不正当競争行為を制限することにあり、実務上には、技術人員が重大経済価値を持つ発明創造を完成した後に、これを待遇への交渉条件にして他社に転職し、旧所属単位の合法的な利益を侵害するケースがよく見受けられる。

上記(B)にいう所属単位の「物質的、技術的条件」とは、所属単位の資金、設備、部品、原材料または外部に公開しない技術資料などをいう。「主要利用」とは、発明創造の開発過程中に所属単位の物質的、技術的条件を全部、大部分に使用し、かつこれらの物資的、技術的条件は発明創造の形成に実質的な影響を有しなければならない。

2.「特許法」第6条第1項によれば、所属単位の物質的、技術的条件を「主要利用」して完成された発明創造は、職務発明創造になり、職務発明創造の特許出願権が単位に帰属し、授権された後にその特許権者は当該単位となる。第6条第3項によれば、所属単位の物質的、技術的条件を「利用」して完成された発明創造に関し、特許出願権及び特許権の帰属につき契約を締結する場合は、その定めに従うことになる。これで、「主要利用」するか、それとも「利用」するかという文言上の差異により、以下のような理解ができる。つまり、所属単位の物質的、技術的条件を「主要利用」して完成された発明創造は、職務発明になり、その特許出願権及び特許権は当然所属単位に帰属することになり、所属単位と従業員と協議できない。一方、所属単位の物質的、技術的条件を「主要利用」せずに完成された発明創造は、職務発明ではないので、その特許出願権及び特許権につき所属単位と従業員と協議である。

しかし、所属単位の物質的、技術的条件を「主要利用」せずに完成された発明創造は、第6条第1項にいう職務発明ではない以上、その特許出願権及び特許権が当然、発明者としての従業員に帰属し、もっぱら職務発明を規定する第6条におき、非職務発明創造の特許出願及び特許権の帰属を強調する規定を定める理由はないと考えられる。特許出願権及び特許権はあくまでも財産性を有する私権であり、譲渡、遺贈また承継することができる。たとえ職務発明創造になっても、従業員に譲渡できるので、その帰属につき、所属単位と従業員の協議を制限する理由はないだろう。これはただ立法文言上の瑕疵であり、職務発明創造であっても、特許出願権及び特許権の帰属につき当事者意思自治に従うべし。


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