中国で有名な経済評論家・呉暁波氏が書いた「便座を買うために日本行く」という文章がネット上で熱い議論を巻き起こしている。「メイド・イン・ジャパン」の衰退が中国の多くの人に信じられている。それは、主に世界の電子産業の中でも最もハイレベルかつ最も優良な企業、日本の8大電機メーカー(ソニー、日立、パナソニック、東芝、富士通、NEC、シャープ、三菱)が長年、苦境にあえぎ、輝きを失ったことによる。これと同時に、「メイド・イン・チャイナ」が、徐々に台頭してきて、国内市場のシェアを復活させるのに成功しただけでなく、近年は国内から世界に向けて急速な勢いで進出している。このような逆転傾向の中、中国人の「メイド・イン・ジャパン」の没落に対する見方には、若干他人の災難を見て喜ぶような意味合いが含まれていた。
しかし、呉暁波氏の文章には、日本を訪れた中国人が大挙してトイレの便座やドライヤー、セラミック包丁、ステンレスボトル、電動歯磨きなどを争って購入する様子が生き生きとして描かれ、「メイド・イン・チャイナ」が「メイド・イン・ジャパン」を追い越したという一部中国人の幻想を思いがけずにぶち壊してしまった。
日本の電子企業の没落は、決して日本製造業の実質的な水準を示しているわけではない。それどころか、日本の製造業は圧倒的な実力を有している。国際連合工業開発機関(UNIDO)が2013年11月にまとめた「2012−13年工業開発報告書」によると、日本の製造業の競争力は世界でトップであり、中国はたったの7位だった。また、2014年の米「フォーチュン」誌に掲載された世界の企業ランキング「フォーチュン・グローバル500」を見ると、ランクインしている中国大陸部の企業は91社で、数の上からは日本の57社を大きく上回っていたが、製造業分野だけを見ると、ランクインしている中国の製造業企業と日本の製造業企業はぞれぞれ36社と29社で、数ではほとんど変わらないと言える。だが中国にとってはきまりが悪いことに、中国の製造業の企業36社のうち4社が同年赤字を計上していた。一方、日本で赤字を計上したのはソニー1社だけだった。
次に、日本企業は依然極めて優秀な研究開発能力を有している。欧州委員会が2014年12月に発表した調査研究報告によると、2013年、世界で最も多くの研究開発費を投入している企業2500社のうち、ランクインしている日本企業の数(387社)は、中国の199社を大きく上回っていた。研究開発費を見ると、日本企業387社の研究開発費は総額856億ユーロ(約113兆908億円)で、中国企業199社の研究開発費の4倍にもあたる。