日本の大手家電メーカーのパナソニックやシャープなどが、このほど相次いで一部製品の生産ラインを国内回帰させることを明らかにした。パナソニックは洗濯機、電子レンジ、電磁調理器など約40種類の生産を中国から日本国内に移し、シャープは液晶テレビ、空気清浄機、冷蔵庫の生産の一部を日本国内に戻す。東芝は2013年の時点で、電子ジャーとアイロンの生産の一部を海外から日本に移している。人民日報が伝えた。
投資データをみると日本の製造業の国内回帰が加速する様子がよりはっきりとわかる。日本政策投資銀行の調査によると、日本の製造業は13年度(13年4月~14年3月)の国内での設備投資が前年比1.7%減少した一方、海外での設備投資は同13.7%増加した。14年度は形勢が逆転し、海外設備投資は同1.6%減少し、国内設備投資は同14.7%増加した。
日本の家電産業のこのたびの国内回帰の動きは、主に円安に促されてのことだ。研究により明らかになったのは、日本企業の海外投資の取り組みは円レートと密接に関連するということだ。12年に円が堅調だった頃は、日本企業の海外での合併買収(M&A)が大幅に増加した。人材コストの高止まりなどが原因で、日本の家電メーカーは1980年代から、生産拠点を徐々に新興市場国家に移転させてきた。安倍晋三首相が就任すると、経済政策「アベノミクス」が急激な円安をもたらし、海外で生産し日本で生産するというモデルの価格的な強みが薄れてしまった。パナソニックの試算では、円の対米ドルレートが1円値下がりするごとに(現在のレートは1ドル=約118円)、日本のメーカーの営業収入は18億円減少する。より多くの企業の国内回帰を促すため、日本銀行(中央銀行)はレートを1ドル=120~130円で維持したいとの考えを強めている。専門家の分析では、「円は今年も引き続き弱く、値下げ幅は約5.6%に達する見込みだ。現在の日本が実施する超緩和策は、客観的にみても製造業の国内回帰を支援する役割を果たすことになる」という。
日本の家電産業の国内回帰は、ある側面から日本の電子製品の競争力の低下を物語る。長年にわたり、日本はずっと中国などの国を生産・輸出拠点とみなし、消費市場とは考えてこなかった。韓国のサムスンに比べて、日本のメーカーは中国市場をターゲットとした開発にそれほど力を入れておらず、価格や販売ルートの面で中国現地の家電メーカーに太刀打ちできなかった。日本の家電メーカーの労働生産性の向上は労働力などの生産要素のコスト上昇に追いつかず、収益力の低下を招いた。そこで国内回帰が市場競争の優勝劣敗をよりくっきりと映し出すことになった。