2008年5月12日に発生した四川大地震が、パンダの生息場所選択に与えた影響を調査した研究結果がこのほど発表され、地震がパンダの生息地の生態環境に与えた影響は限定的だったものの、パンダは慎重に生息場所選択を行うようになっており、勾配の急な谷間は避けるようになったことが分かった。新華網が報じた。
パンダは現在、四川省の西部や陝西省南西部、甘粛省の南部の山地に生息している。うち、中国最大のパンダ保護区の一つである甘粛省南部の白水江国家級自然保護区は、四川大地震の被害が大きかった被災地だ。
地震発生後間もなく、香港海洋公園保育基金の援助の下、同保護区は地震がパンダの生息場所選択に与えた影響を調査する科学研究プロジェクトを開始。パンダを保護するための対策を練るために、パンダがどのように地震の影響に対応しているかを調査した。
生息場所選択とは野生の動物が生息地を選択する行為。同プロジェクトの首席研究員を務める白水江保護区のシニアエンジニア・楊文贇さんによると、保護区管理局はまず、パンダの生息地と見られる389カ所で情報を収集。うち240カ所をパンダが生息場所として選択している場所と確定し、各生息地の海抜や位置、勾配、立木密度、竹の種類、水源など18項目を調査した。
その後、楊さん率いる研究チームは、18項目の要素を、地震前に同省で実施された全国第3回パンダ調査(1999年6月-2003年末)で収集されたデータと比較。地震がパンダの生息地の生態環境に与えた影響は限定的で、パンダが主食とする竹の生長の変化はほとんどなかったことが分かった。
しかし、地震のパンダの生息場所選択には比較的明らかな変化が見られた。地震後、「勾配の向き」や「立木密度」が、パンダの生息場所選択に最も影響を与える要素ではなくなった。楊さんによると、「地震により、パンダは生息場所を選択する際、『慎重』になった。人と同じで、大地震を経験したパンダは勾配の急な谷間を避けるようになったほか、竹を食べる際も、視界の良い竹林を選択するようになった」という。
今年2月末発表された中国第4回全国パンダ調査の結果によると、甘粛省のパンダの個体数は132頭。第3回調査時より、明らかに増加していた。うち、90%のパンダが白水江国家級自然保護区に生息している。(編集KN)
「人民網日本語版」2015年3月23日