中国とタイの鉄道をめぐる協力というニュースが伝わると、日本も鳴り物入りでタイとの対話を加速させ始めた。今月14日には日本の安倍晋三首相がタイのプラユット・チャンオチャ首相と会談を行い、これは過去1カ月間で2回目の会談となった。日本は低利の融資によって鉄道や港湾などの建設を支援するという方法をうち出して交渉を有利に進めようとしている。「国際商報」が伝えた。
日本メディアによると、タイの高速鉄道建設をめぐり、日本と中国の両政府は水面下で「激しい争い」を繰り広げているという。
中日間の争いは日本メディアが言うほど白熱しているのだろうか。中国現代国際関係研究院南アジア・東南アジア・オセアニア研究所の宋清潤研究員は、「中日両国がタイで建設しようとする鉄道の方向は同じではない。中国は南北方向、日本は東西方向だ」と話す。
中国の計画では、中・タイが協力する鉄道はインドシナ半島を縦断してマラッカ海峡に至る国際交通輸送ネットワークの一部となる。日本はバンコク、サイヨーク郡、サケーオ県を結ぶ路線への投資を考えており、将来的にはミャンマー、タイ、カンボジアを結ぶ計画だ。宋研究員は、「注意しなくてはならないのは、日本企業がタイの進めている一部鉄道路線の建設地域周辺の自然環境や地理的条件の探査活動および調査研究を支援していることで、これは中日間の競争のチャンスや影響力にある程度影響するとみられる」と話す。
中山大学東南アジア研究所の袁丁所長は、「中国とタイはプロジェクト合意を調印したが、中日がタイや東南アジア諸国の間で繰り広げる高速鉄道の戦いに今結論を下すのは時期尚早だ。タイの現政権はまだ完全に落ち着いてはおらず、タイの対外関係にはまだ明確な方向性がないといえる。今年10月末か11月に行われるタイの総選挙が終われば、おおよその判断ができるようになる。また今後のタイ政府の財政の透明性を注視する必要があり、日本の大手財団が裏操作といった一連のこまごました動きをする可能性を考えなければならない」と話す。
また袁所長は、「中国の鉄道は技術であれ価格であれ日本よりも強みがある。ビジネスや技術などの競争だけでも、中国の高速鉄道は日本の新幹線より強みをもつことは間違いない。最も顕著な例は、日本の新幹線は台湾地区の高雄新幹線への輸出に成功したものの、いまだに利益を出していないことだ。中国には鉄道の建設・改修で豊富な経験がある。中国ではさまざまな天候や地理的条件がもたらす技術的問題を考えるざるを得ないが、日本にはこうした経験がない」と話す。
実際、インド、マレーシア、ミャンマーなど各国での高速鉄道争奪戦の中で、中国の高速鉄道と日本の新幹線はずっと激しく争ってきた。国際鉄道連合(UIC)のまとめたデータによると、世界の鉄道市場の規模は2014年から19年の間に年平均約23兆円拡大する見込みだ。これほど大きなパイを前にして、その分け前にあずかりたいと思うのは中国と日本だけではない。宋研究員は、「中国企業がやらなければならないのは、質を保証することだけでなく、人材の育成、後継サービス、現地の環境保護や公益性に関わるプロジェクトにおいて、さらに努力し、国際市場でよい評判を獲得することだ」と話す。(編集KS)
「人民網日本語版」2015年3月26日