米テキサス工科大学脳画像診断研究所(TTNI)の唐一源所長は、次のような見方を示した。
人の遺伝は、多くの染色体の共同作用によって完成される。ただ1対の染色体で帰結するものではない。人はそれ自身、完璧に整ったシステムであり、人体のシステムに影響を及ぼす因子は極めて多い。生物学的構造は、遺伝子の一側面に過ぎず、環境そのものによる影響や、その人を取り巻く環境下での経歴や行為も影響する。環境の影響を受けた後に習得した行為や自らをコントロールする方法が繰り返され、遺伝子の発現に影響や制約を及ぼす。したがって、遺伝子は、純粋に生理学的立場から見る限り、知能を決定づける潜在力が備わっている。だが、それが発現するか否かは、後天的な潜在力の開発・育成に左右される。
科学者の総合評価によると、遺伝が知能に及ぼす影響は、せいぜい半分で、残り半分は、後天的な成長環境が関わってくる。日常生活での母親の影響は、なかでも大きな割合を占めるだろう。母親は、子供にとって最初の人生の師であり、文化レベルが高い母親は、子供に質の高い家庭教育を施す。生理学的に見ると、一部の僻地では、女性が受ける教育レベルが総じて低く、出産年齢も低い。母親自身の骨格や体組織が十分に成長していない年齢での若すぎる妊娠・出産のために、母親となる重圧は胎児の成長にマイナス影響を及ぼす恐れがある。貧血、栄養状態が不良などの要因も、子供の知能の発達に悪影響を及ぼし得る。
子供の知能を決定づける要因は、極めて複雑だ。遺伝学的見地から見ると、染色体がどのように分裂するかについても、「神秘」に満ち溢れている。よって、知能を左右する影響は、先天的なものであれ後天的なものであれ、何が最優先であるのかについて、科学界はまだ正解を導き出せてはいない。(編集KM)
「人民網日本語版」2015年5月20日