ネット上でこのところ、「聡明なお嫁さんを娶れば、賢い子どもが生まれる」という説がまことしやかに伝えられている。「人の知能と関係が深い遺伝子は主にX染色体に集中している。女性は2本のX染色体を持っているが、男性には1本しかない。よって、子供への遺伝のことを考えれば、母親の知能がより重要な意味を持っている」というのが、この説の根拠となっている。特に、男の子について言えば、母親の知能がかなり全面的に影響しているという。果たしてこの説は真理なのだろうか?北京科技報が伝えた。
英誌「ネイチャー・レビューズ・ジェネティクス」2005年第6号の掲載論文「X染色体の知能への影響」では、「X染色体上にある約1千個のタンパク質をコードとする遺伝子のうち、少なくとも40%が脳で発現する。この割合は、他の染色体より高く、Y染色体を大幅に上回っている。このことから、X染色体は、脳の発達や知能レベルに対して、大変大きな影響を及ぼすことが分かる」と指摘されている。
だが、米国で実施された調査の結果、男の子と父親および母親の知能指数の相関性の差異は、わずか10%に満たないことが判明した。このような微差は、「母親の知能レベルが子供に本質的な影響を及ぼす」ことを証明する根拠とはなり得ない。中国科学院心理研究所の王力研究員は、「遺伝子は、遺伝子変異の主要物質であり、タンパク質合成をコードする遺伝子によって、脳の働きをコントロールしている。遺伝子決定論は正しい説ではない。というのも、成長環境が人の知能に及ぼす影響の方がより大きいからだ」と指摘した。
また、遺伝子の分裂と遺伝は極めて複雑なプロセスであり、子子孫孫と伝えられる中で、子供がどのようにして両親から遺伝子を受け継ぐのかについては、かなりランダム性があることから、天才の登場も、一種の「統計学」であると言えよう。