日本側のこの行動は、安倍首相が就任以来追求してきた外交政策の変更と合致するものと言える。
より深いレベル、より長期的な観点から言うと、日本側の行動は対中心理の変化とともに、自らの戦略的地位についての焦慮を反映している。
1990年代初め、中国が西側諸国の制裁を受けていた際、日本の対中外交は積極的な一面を見せた。当時日本経済は中国に対して大きな優勢にあり、G7を含む西側世界において「アジアの代表」を自任し続けていた。心理的に日本は国際社会で中国に対して一定の優越感を持ち、経済・貿易・投資上の実益の必要性があり、当時の政治家も歴史問題において罪悪感を持ち、中国との建設的関係の発展を望んでいたため、中国が西側の制裁を打破する1つの突破口となった。当時、日本はG7における特殊な地位を利用して、中国のために発言し、対中関与政策を他の西側諸国に働きかけた。
中国経済の発展、総合国力と国防力の強化に伴い、日本国内では右翼保守勢力が次第に勢いを得て、中国に対する否定的な見方がいくらか増え、「中国脅威論」が蔓延し始めた。これは日本が中国の台頭にまだ適応できないことが大きい。誤った中国観と誤った歴史観が重なり合い、対中関係の否定面が増え、中国を「助ける」心理が中国を「圧する」心理へと変わった。とりわけ安倍政権発足後は、「地球儀を俯瞰する外交」によって中国を封じ込めることを幻想している。これは中国に対する強い焦慮の反映だ。
安倍首相は望み通りにG7の議事日程に中国関連の議題を持ち込み、中国を「圧する」心理を満たした。だが問題は、安倍首相のこのやり方が日本外交を誤った道に引き込んだことだ。G7サミット宣言の中国関連の文言は事実の根拠を欠き、中国を暗に指した非難も国際社会公認の正しい道理を欠き、自らの主権と領土の一体性を守る中国の意志を揺るがすことはできなかった。日本が海洋紛争にG7を引き入れるのは、地域情勢をさらに複雑化させるだけで、問題解決の助けにはみじんもならない。
「価値観共同体」を名乗るG7の国際的影響力はとうに昔の比ではない。ましてや各メンバーは中国に対してそれぞれ計算があり、日本と完全に一致を保つことはあり得ない。東南アジア諸国が日本の対中行動にやみくもに同調することはなおさらにあり得ない。戦後70年にあたり、国際社会は安倍首相が歴史という関門をどう越えるのかを注視している。中国の顔に泥を塗ることの実際の影響は、結局は日本にとって失望するものとなるだろう。日本の未来と地域の平和・安定のため、日本は対中非難の力を、歴史に真っ直ぐに向き合い、隣国との和解を実現し、アジア運命共同体を築くことに向けた方がいい。(編集NA)
「人民網日本語版」2015年6月10日