申京淑氏は1985年、韓国で新人文学賞を受賞後、人気作家となった。ヒット作「母をお願い」は日本など各国で翻訳出版された。 |
韓国の人気女流小説家・申京淑(シン・ギョンスク)氏はこのほど、故・三島由紀夫氏の作品を盗用したことを認めた。申氏はすでに、盗作について謝罪の意を示しており、出版社は盗用が認められた作品の出版を停止するとしている。中国新聞網が報道を総合して伝えた。
韓国の某文学評論家が先週、「申氏が1996年に発表した短編小説『伝説』において、新婚夫婦の仲睦まじい様子に関する描写が、三島氏が1960年に発表した名作『憂国』を盗用したものだ」と指摘する文章を発表、韓国の文壇が騒然となった。
申氏は最初、この指摘を否定、「憂国」を読んだことはないとまで公言していた。だが、その後の取材に対し、一部の描写について「(盗用は)あり得る」と認めた。同氏は、「『憂国』を読んだ記憶はないが、いま改めて読み比べてみると、疑惑に一理あると認めざるを得ない。今は、自分の記憶が信じられない状態だ」と苦しい言い逃れをしている。
申氏が所属するソウル創批出版社は、「伝説」が収録されている作品集の出版をただちに取りやめると発表した。
申氏は1985年、韓国国内で新人文学賞を受賞後、脚光を浴びるようになった。2008年に発表された長編小説「母をお願い」は、日本はじめ各国語に翻訳出版された。同氏が当時、三島氏の作品では代表作「金閣寺」だけ読んだことがあると明かすと、韓国の書店に「金閣寺」の予約購入が殺到したという話は、語り草となっている。(編集KM)
「人民網日本語版」2015年6月25日