米カリフォルニア大学バークレー校の研究者は、ラットの脳の特定の神経細胞内に「スイッチ」を植え込み、レーザーを当てこの神経元を刺激することで、睡眠状態のラットに「夢」を見させた。新華社が伝えた。
研究者は光感応イオンのルートを「ガンマアミノ酪酸を生成する神経元」に、光ファイバーをラットの脳に植え込み、さらにブルーレーザーの照射を刺激の手段とすることで、「光遺伝学スイッチ」を形成した。その結果、この神経元を刺激すると91%の確率で、眠ったラットが数秒後にレム睡眠、つまり哺乳類に特有の睡眠状態に入った。レム睡眠は夢と関係するとされている。レム睡眠は睡眠時間全体の約20%を占め、記憶と学習などの脳機能に働きかける。
バークレー校神経生物学教授は、「人々はこれまで、延髄はレム睡眠時の骨格筋の麻痺のみに関わると考えていた。ところが我々の研究結果によると、骨格筋の麻痺や大脳皮質の興奮、つまりノンレム睡眠と比べ、これらの神経元の刺激によるレム睡眠時の脳は、起きている時の状態に近いことが分かった」と話した。
研究者は、小規模な神経ネットワーク内で、夢に対して決定的な作用をもたらす重要なポイントを発見した可能性があるとした。同教授は、「私は基礎研究に従事しており、得られた結果が直接実用化されるとは限らない。睡眠の乱れは、世界の多くの人が抱える問題だ。今回の研究は、睡眠のメカニズムを徐々に理解し、睡眠の乱れを解消する新たな考えをもたらし、化学薬品による副作用を回避する一助になるかもしれない」と述べた。(編集YF)
「人民網日本語版」2015年10月21日