日本において「職人」と呼ばれる人は決して珍しくないが、家具職人歴54年の秋山利輝さん(72)のように、「親孝行」を強調し、一流の家具職人を養成する独自の研修制度を設けている職人は決して多くない。秋山さんが「技術」をまず強調することはなく、「職人は、技術よりも人間性が大切」と語る。中青在線が報じた。
秋山さんは最近、「秋山木工」の「職人心得30箇条」を引き下げて中国を訪問した。「30箇条は、自分の経験をまとめたもので、実際には、早くに中国から学んだもの」と秋山さん。秋山さんの著書「職人心得」は、日本だけでなく、台湾地区でも出版されており、今回中国大陸部にも上陸してきた。
子供のころから、学校の成績は後ろから数えたほうが早かったものの、家具大工にとても興味を持っていたという秋山さんは、その優れた技術が評価され、26歳の時に、皇居の家具までも任される超一流職人になり、27歳で「秋山木工」を立ち上げて、手作り家具業界の第一人者になった。その5年後には、見習いを受け入れ始めた。
SNSが主流となっている現代にもかかわらず、「秋山木工」の見習いは、私用の携帯電話も恋愛も禁止。男女の区別なく、全員丸坊主だ。朝は毎日マラソンし、親や友人とは手紙で連絡を取る。そして、職人の心得を毎日暗記し、実践するなど、苦行中のお坊さんのような生活だ。入社1年目から4年間「丁稚(でっち)」の修行を行い、3年目4年目には技能五輪へ挑戦する。5年目から8年目は、秋山木工で職人として働き、通算9年後には、晴れて独立できる。