アメリカの前衛アート界において、かのスマートでかよわい女性は日本の村上隆や中国の蔡国強をも超えていると言っても過言ではない。その女性とは日系アメリカ人の前衛芸術家オノ・ヨーコ。ただ、どれほど様々な呼称を用いたとしても、82歳の彼女にとって最も多く語られるのはやはりジョン・レノンの寡婦であり、ジョン・レノンもかつて彼女のことを「世界で最も有名な無名アーティスト」と評価したという。北京日報が伝えた。
世界各地で数多くの展覧会を行ったオノ・ヨーコが近く、中国初となる個展「金の梯子」を北京の798芸術区で開くことになった。16日夜、彼女は中央美術学院の美術館を訪れ、芸術を学ぶ青年たちと人生や芸術について語り合った。今回の北京訪問は彼女にとって単なる訪問ではなく、「82年も心にとめていた場所についに来た」のだそうだ。
女性を語る もう10年あったら、私はもっと束縛されない
交流会会場で、人々が息をひそめて彼女が座り話し始めるのを待っていると、彼女は突然マイクを手に約数十秒にわたり高音で歌詞のないメロディーをシャウトし始めた。「皆さんに一人の女性の声を聴いてもらいたかったんです」とオノ・ヨーコは説明した。彼女にとって、この世界は人種や性別など数多くの偏見がはびこっている。「今は年齢に対する偏見もある」とし、それ故、多くの人々が制限を受けており、まさに彼女自身もかつては制限され非常に抑制された女性だったと語った。「でも成長するにつれて、私はこれらの束縛から逃れ、今では束縛されない女性になりました。でもまだ十分ではありません。もしもう10年あったら、私はもっと束縛されない女性になれると信じています」。