ここしばらくの間、一部の外資系企業の中国撤退、外貨準備の減少、資本の流出、経済成長の減速といったいくつかのデータから、世論では「中国の外資を引き付ける力が低下しており、外資の大規模な撤退が起きている」との悲観的な推測がされている。人民日報が伝えた。
中国商務部(省)の高虎城部長はこれについて、「第12次五カ年計画(2011~2015年)期間中、中国の外資導入規模は第11次五カ年計画(2006~2010年)期を30%上回った。外資の撤退ブームは存在しない」と語っている。専門家も、「近年、一部のローエンド製造業から外資系企業が撤退したが、中国に参入するサービス業、先端製造業、ハイテク業界の外資は増える一方だ。第13次五カ年(2016~2020年)期間中、中国は引き続き開放を拡大し、法制化・国際化・便利化されたビジネス環境を整える。中国は今後も外資投資を引き付ける『価値ある土地』であり続けるだろう」と指摘する
▽外資撤退ブームは存在せず
一部の現象からむやみに結論を出すのは、科学的な方法ではなく、市場をミスリードしやすい。外資の問題もそうだ。高虎城部長は、「外資撤退ブームという言い方に同意しかねるし、こうした現象は全く存在しない。もし外資撤退ブームが存在するならば、2つのデータに反映されるはずだ。まず、その年に導入した外資が減少する。だが、2014年と2015年の外資導入額はいずれも増加している。次に、総量が減少する。しかし、中国の改革開放から現在にいたるまでの外資導入額(ストック)は1兆6千億元に達している。ストックは割合と同年の増加を同時に計算したもので、これらのデータから外資撤退ブームは起きていないと言える」と指摘した。
データを見ると、2015年の中国の外資導入額は前年同期比5.6%増の1263億ドルに達している。商務部の沈丹陽報道官は「今年1月の全国の外資利用データは大量の流入とプラスの成長を示している。資金の逃亡という説には根拠が無い」と語る。
国家外為管理局の担当者は「2015年にみられた資本の流出は主に、国内の銀行や企業などが対外資産の持ち高を自発的に増やし、またこれまでの対外融資を返済したためで、通常言われている外資の撤退とは本質的に異なる」と分析する。