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国際秩序と中国の役割 中国は世界の脅威か

人民網日本語版 2016年02月16日08:42

 世界では中国に関してこんな疑問がささやかれている。中国は、世界秩序における米国の指導的地位に挑戦しようとしているのではないか。現在の世界秩序と並行するもう一つの世界秩序を作り出そうとしているのではないか。我々の答えはもちろん「ノー」である。中国は国際秩序の一員である。だが双方が口にしているのは同じ「秩序」なのだろうか。こちらの「秩序」とあちらの「秩序」は違うもののようにも見える。(文:傅瑩。全国人民代表大会外事委員会主任委員、中国社会科学院グローバル戦略シンクタンク首席学者、中国国際経済交流センター特別招聘副理事長)

 「米国指導下の世界秩序」と言われるものには3つの柱がある。第一に、米国式の価値観であり、これは「西洋的価値観」とも言われる。第二に、米国の軍事同盟体系である。これは、米国が世界で「指導」的な役割を発揮する安全面での基盤となる。第三に、国連を含む国際機関である。この「世界秩序」と言われるものは、国際政治においてその歴史的起源を持ち、現代世界においてその役割を発揮している。米国は長期にわたってこの秩序において指導的地位を占め、そこから利益を得てきた。だが経済のグローバル化が進み、国際政治が断片化を深める今日、この「世界秩序」はますます多くの現実的挑戦に直面するようになり、全面的で有効な解決プランを提供することはますます難しくなっている。

 政治レベルでは、米国が推進する西洋的価値観に基づいたやり方は多くの地域で適応の困難に直面している。とりわけ一部の中東諸国では、古いレジームが打ち破られた後、新たな社会的枠組みがなかなか構築できないという問題が起こっている。こうした国々は深刻な動乱に陥り、動乱は国外にも広がっている。防衛分野では、米国の主導する軍事同盟体系は往々にして、同盟国の安全面での利益を非同盟国の安全面の利益の上に置くことで、地域が抱えている問題をさらに複雑にする新たな要素を加えている。経済レベルでは、2008年に起こった国際金融危機によって国際経済統治の欠陥が明らかとなり、世界統治の改革プロセスは主要20カ国(G20)が牽引するようになった。

 こうした状況を背景として、経済規模の増大と世界における影響力向上の著しい中国が、いかなる立場を取るかに、人々の関心が集まっている。中国の指導者は、既存の国際秩序を支持するとの立場を繰り返している。だが中国人が使っているのは「国際秩序」という言葉であり、「世界秩序」という言葉ではない。これが指すのは、国連憲章の目的と原則を核心とした国際的な秩序と体系である。中国は、既存の国際秩序に帰属感を持っており、その創始者の一つであると同時に、受益者・貢献者でもあり、さらにはその改革の参加者でもある。

 習近平主席は昨年9月、米シアトルで講演した際、「世界では多くの国々、とりわけ数多くの発展途上国が、国際体系がより公正で合理的な方向へと発展することを望んでいる。だがこれは(既存の体系を)ひっくり返してもう一度やり直すということでも、ほかにもう一つの体系を作り出すということでもなく、時代とともに進化し、これを改革・改善していくということだ」と語った。


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