劉澤瑜さん
数年前の旧暦の大晦日の夜(2月7日)、日本の奈良県では劉澤瑜さんが一人バイクに乗って無人の街を行き来していた。零度近い気温の中、彼は新聞を一部ずつ配達先の家々に届け終えると、家に一人帰り着いた。広州日報が伝えた。
日本の大阪に留学している劉澤瑜さんは海外で春節(旧正月、今年は2月8日)を過ごす数多くの留学生の一人だ。彼は年越しの雰囲気に包まれた故郷を想い、遠い天津にいる家族を想い、広州で勉学に励むガールフレンドに思いを馳せる。申年の春節、劉さんは海外で過ごす旧暦の大晦日の晩に、夕飯を手短に済ませ、いそいそと家に戻ると、パソコンを開いて動画チャットを立ち上げた。
劉さんは似たような境遇にある大勢の人々の一人に過ぎない。というのも、彼のようなケースは中国においてすでに典型的なパターンとなりつつあるからだ。一人っ子で学業や仕事のために海外に赴き、年越しのために帰国することもままならず、両親はすでに高齢で、実家では老夫婦が食卓を囲み、パソコンをつけて、国外にいる子供と動画チャットをしながら旧暦の大晦日を過ごすのだ。
今年25歳になる劉さんは生まれも育ちも天津で、逞しい体つきは見た感じ細身に見えるが、かつては国家2級短距離スプリンターの選手で、100メートル走の最高記録は11秒ちょっとだという。
〇新聞配達のバイトで一年間ほとんど熟睡できず
劉さんがたった一人で荷物を手に日本の奈良県にある日本語学校に訪れたのは2013年、彼はここで1年間日本語を学ばなければ日本の大学に進学することができないのだった。
生活費と学費を補うため、劉さんは語学学校に通う傍ら、新聞配達のバイトを見つけた。彼はこのバイトを見つけられたことはラッキーだと考えている。なぜなら、新聞社が社宅を提供してくれるので、家賃を節約できるからだ。当時21歳だった劉さんは毎日午前1時から早朝5時まで新聞を配達し、配達を終えると社宅に戻ってしばらく休憩を取った後で学校の授業に行き、午前と午後の授業を終えると、慌ただしく社宅に戻って就寝、次の日も夜中の1時には起きて新聞を配達するという日々を送った。