最近、米国とASEAN首脳の非公式会議が米カリフォルニア州で行われた。オバマ大統領は環太平洋パートナーシップ協定(TPP)に言及。シンガポール、ベトナム、マレーシア、ブルネイはTPP参加後、労働者と環境の面で「高水準」を決意したとして、米国とASEANが民衆の願いと尊厳を共に支える方法だとの認識を示した。(文:華益声・国際問題専門家。人民日報国際版コラム「望海楼」掲載)
実際のところ、米国はASEAN10カ国中TPP参加国がわずか4カ国であることをよく理解していないわけではない。米大統領が自国とASEANとの協力を語る際にTPPを引き合いに出す事は、米国がこの枠組を重視していることを十分に反映している。そして「高水準」は米政府がTPPのために打ち出した「金看板」となっている。米国は常に「高水準」を口にするが、実際は腐心して自国の利益に奉仕させるものだ。オバマ大統領はTPP交渉終了後の声明で「米国は中国のような国に世界貿易のルールを制定させるわけにはいかず、米国が制定するべきだ」と公言した。
米国の目標は壮大だが、非現実的だ。
具体的レベルから見ると、米国は協力分野で中国を締め出すことはできない。ASEANを例に取ると、オバマ大統領は自らの就任以来、米国―ASEAN間の貿易が55%増加したとすこぶる得意げに表明した。だが米側の報告は、2014年に中国―ASEAN間の貿易額が4800億ドルに達し、米国―ASEAN間の2倍以上だったことを指摘している。中国―ASEAN自由貿易圏はすでに経済規模約11兆4000億ドル、人口20億人近くの大市場になっている。中国はASEANにとって最大の貿易パートナーであり、ASEANは中国にとって第3の貿易パートナー、第4の輸出市場となっている。中国―ASEAN自由貿易圏の高度化に伴い、双方の経済・貿易協力にはさらに大きな将来性が開ける。