国際シンポジウム「『国連海洋法条約』強制手続き適用――フィリピンの南中国海仲裁案について」が16、17日に武漢で開催された。出席した国内外の学者はフィリピンが一方的に提起した南中国海仲裁案に疑問の声を挙げ、批判し、歴史や法理の観点から議論した。新華網が伝えた。
国際海洋法裁判所裁判官、国家海洋局海洋発展戦略研究所元所長の高之国氏は「南中国海仲裁は仲裁の目的を達していない。仲裁の目的は紛争の解決と管理についての案や措置を示すことだが、2年前と比べ、仲裁は反対に紛争を一層複雑化しており、南中国海情勢は穏やかでなくなっている。現在の仲裁裁判所の行為を見ると、公正で客観的な立場から完全に乖離しており、随処でフィリピンの肩を持っている」と指摘した。
スイス・ベルン大学のThomas Cottier教授は「南中国海仲裁案を受け入れず、参加しないとの中国側の立場は理解できる。この案件は純粋な法律係争ではなく、政治レベルにより多く及ぶものであり、フィリピンの仲裁提起によって双方間の争いを解決することはできないからだ。中国は自らの見解を示し、その立場と目標を国際社会に理解させる必要がある。たとえ中国が南中国海で排他的経済水域を設定しても、航行の自由を妨げることはない」と指摘した。
韓国・仁荷大学の金顕洙教授は「中国とフィリピンは互いの問題をできるだけ交渉によって解決するべきだ。中国とASEAN各国が締結した『南中国海における関係国の行動宣言』は南中国海問題を解決する良い法的枠組であり、関係国はこれまでの合意を忘れるべきではない。日米関係と航行の自由における両国の立場が近いことを考えると、南中国海問題における日本の姿勢は注視に値する」と指摘した。
今回のシンポジウムは国家領土・海洋権益協同革新センターと武漢大学中国国境・海洋研究院が主催。オーストリア、カナダ、韓国、スイス、英国、中国(台湾地区を含む)の学者30数人が出席した。(編集NA)
「人民網日本語版」2016年4月18日