またマイナス金利を消費者に転嫁できない銀行はより大きな圧力に直面することになる。ドイツ銀行は、「マイナス金利の環境では、貸出環境がより厳しいものになる。ECBの目指すところとはかけ離れている」との見方を示す。モルガン・スタンレーのアナリストのスティーブン氏は、「銀行は顧客が現金を引き出しにかかると予想したなら、わずかな余剰資金でも貸出に回そうとしなくなる可能性がある」と懸念を表明する。
国際通貨基金(IMF)金融資本市場局のホセ・ビニャルス局長は欧州・日本の中央銀行のマイナス金利に対し楽観的を見方をしており、「こうした政策は消費者の消費力を弱めるとか、銀行の収益力を損なうとか、いろいろ批判もあるが、全体としてみれば銀行はマイナス金利でも利益を上げることができるのだ。マイナス金利政策は国内の需要を喚起することが狙いなので、銀行は信用の質が向上し貸出ニーズが増える可能性がある。銀行が保有する債券の収益が増える可能性もある。全体としていえることは、マイナス金利の経済への影響はデメリットよりもメリットの方が大きい」との見方を示す。
またビニャルス局長は、「中央銀行のマイナス金利政策は取り組みの強度でも期間でも限界というものがある。理論的にいえば、ますます多くの個人、企業、銀行が現金を手元に持っていたい、または現金を取引ツールにしたいと考えたなら、マイナス金利政策の効果は減じることになる」と指摘する。
IMFのラガルド専務理事はこのほど講演の中で、経済活性化のためには構造、財政、金融措置からなる「3本柱アプローチ」が必要だとし、「金融政策はもはや唯一の選択肢ではない」と言い、金融政策と同時に構造改革を進め、財政政策によって経済成長を支えることの必要性を訴えた。(編集KS)
「人民網日本語版」2016年5月9日