▽矛盾2:企業の投資の伸びに力無し
アベノミクスでは、金融緩和政策を通じて企業の利益を増加させ、企業の投資拡大を喚起し、ひいては経済の好循環を実現するという構想を描く。だが構想は現実によって「砂上の楼閣」に過ぎないことが証明された。
13年にアベノミクスが登場すると、日本銀行(中央銀行)は市場から驚きの声をもって迎えられた金融政策とマネタリーベース拡大措置を次々に打ち出した。これを土台として、今年はマイナス金利政策をうち出し、預金金利をマイナス0.1%に引き下げた。
こうした措置を打ち出した主な狙いは、企業向けに良好な金融政策環境を創出し、貸出の規模を拡大し、生産設備や向上などの固定資産への投資を増やし、企業の経営範囲を一層拡大し、より多くの利益を達成することにあった。
だが実際には、15年第4四半期(10-12月)に日本の大手企業の投資は限りなくゼロ成長に近づいた。それだけでなく、同期の大企業の短期貸出は同2.5%減少し、長期貸出はわずか同3.6%増加にとどまった。これと対照的に、同期の大手企業の手元にある現金は同3.7%増加し、有価証券も同4%増加した。
次のようなデータもある。10年前に比べ、15年度(15年4月~16年3月)に日本の大手企業の手元の現金は前年度比32.4%増加したが、固定資産投資額は同16.3%増加で、アベノミクス実施前の12年度に比べて4.3%の増加にとどまった。これはつまり、日本の大手企業の利益はアベノミクスという護送船団に守られて増加したが、企業は現金を使いたがらず、投資にうかつに手を出さなくなった、ということを意味する。