理論的にいえば、マイナス金利は住宅ローンを返済中の個人や設備投資を行う企業にとっては好材料になる。だが実際にはそうはなっていない。
劉研究員は、「不動産は確かにマイナス金利の影響を大きく受ける。第2四半期(4-6月)のデータをみると、日本の不動産市場は全体として投資が多く、住宅投資は前期比5%増加した。これはマイナス金利の影響だけでなく、消費税率の再引き上げに先だって民間の支出・消費を活性化する要因があったためだ。とはいえ、個人消費と民間企業の投融資の促進という点では、それほど効果が上がっているとはいえない」との見方を示す。
劉研究員はさらに分析を進めて、「第2四半期の日本の個人消費と世帯消費は活発ではなかった。前期比データをみるとわずか0.1%の増加にとどまっている。これと同時に、海外での利益が全体として大幅に減少し、これも日本経済に大きな影響を与えた。またよりはっきりしているのは、企業の設備投融資の伸びが基本的にゼロだということで、ここから企業の疲弊ぶりがうかがえる。また目下の状況の中で、日本企業は今後の日本経済や海外経済の見通しに希望をもてず、投融資の意欲が低下している」と話す。
日本のデータによると、日本企業の第2四半期の資本支出は同0.4%減少し、2四半期連続で減少した。4月に発生した熊本地震は西日本に大きな損害をもたらし、たくさんの企業が製造の中断に追い込まれた。円高も日本の輸出企業にとって打撃だった。劉研究員は、「マイナス金利は財政投融資に確かに影響を与え、民間企業は低コストで融資を受けたり政府から資金を借りたりできるようになったが、実際にどれくらい効果があるかは社会と企業の需要によって決まる」と話す。
▽経済に引き続き圧力
劉研究員は、「第2四半期の経済成長が予測を下回ったことは、主に経済政策が、特に量的緩和政策が効果を上げなかったことで生じた衰退だといえる」との見方を示す。
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