劉研究員によると、「日本の第2四半期の経済成長はマイナスにはなっておらず、財政支出が支援の役割を果たしていることは明らかだ。これは日本政府が財政支出を増やすことが短期的な日本経済の安定化にプラスになることをある程度示してはいるが、弊害も非常にはっきりしている。長期的にみて、日本は労働力不足であり、建設に充てられる財政支出が着実に実施されるとは限らない。また女性や子供への手当も経済的利益を直接生み出すことはない。日本政府の債務比率は受け入れ可能な範囲を超えつつあり、現実に行われる投資が結局どれくらいあるのかは疑問だ」という。
黒田総裁は「ヘリコプターマネー」の実行可能性を否定し、現在の法律ではあり得ないとした。だが劉研究員は、「マイナス金利の規模が一定である現在の状況で、日銀が次にするだろうと思われることは『ヘリコプターマネー』の中核となる理念を実行に移すことだ。つまり、財政投融資を利用して資金を生産分野に正確に集中させ、投資を通じて生産の循環を促進するというものだ。これが効果が上げ得るかどうかは、下半期に投資が資産の変化をもたらすかどうかをみなければならない」と指摘する。
実際、黒田総裁の説明には力がない。「ヘリコプターマネー」とは中央銀行がゼロ金利政策または限りなくゼロに近い金利政策を実施した後、国債などの中長期債権を購入して、マネタリーベースを増やし、市場に大量の流動性資金を注入するという関わり方を指し、支出と貸出を奨励するのが狙いだが、これは日本が今やっていることと大して変わりない。
また劉研究員の指摘によると、「日本の大手企業の収支状況は非常に悪化している。円高とアベノミクスの実施を背景として、ここ3年あまりの日本経済は表面的なバブル経済の様相を呈した。株式市場、企業の帳簿上の利益、海外からの観光客の日本旅行熱といった景気のよい現象には、実は多くの問題が隠されていた。たとえば三菱自動車の燃費データの長年にわたる不正、タカタ社のエアバッグ試験データの改ざん、東芝グループの8年に及ぶ不正会計などがある。またトヨタグループなどの企業も利益と売上高のダブル低下に直面している。こうした企業は実はかねてより多くの問題を抱えていたのが、円高や利益の持続的な低下を受けて、問題が表面に出てきたのだといえる」という。
劉研究員はさらに、「より深層レベルで考えると、社会経済の構造的問題が長期間未解決なことがある。この3年半の間に、日本経済の潜在的経済成長率は1%から0.5%に低下した。経済構造の問題は引き続き深刻だ」と指摘する。(編集KS)
「人民網日本語版」2016年8月24日
このウェブサイトの著作権は人民日報社にあります。
掲載された記事、写真の無断転載を禁じます。
Tel:日本(03)3449-8257
Mail:japan@people.cn