7月、英国の欧州連合(EU)離脱決定や新興国の経済成長の減速などを受け、日銀は、追加金融緩和を決め、年3兆3000億円だった上場投資信託(ETF)の買い入れ額を、約2倍の6兆円に増やすことを発表した。また、外貨融資の環境を安定させるため、企業が海外事業を広げる際に必要なドルを日本の金融機関経由で供給する制度を強化し、限度額を従来の120億ドルから240億ドルに倍増させ、その期間を4年とするとした。
政策の「副作用」に懸念の声
12年、安倍晋三首相は「大胆な金融政策」「機動的な財政政策」「民間投資を喚起する成長戦略」というアベノミクス「3本の矢」を発表した。この計画では、日本経済は急速に回復し、インフレ率は2%に達し、20年までに基礎的財政収支(プライマリーバランス)で財政均衡を達成するとしている。13年3月に日銀の総裁に就いた黒田東彦総裁は、アベノミクスの忠実な実行者だ。
しかし、マイナス金利政策による刺激の下でも、日本経済は一向に好転せず、特に金融業の状況は悪化の一途をたどっている。
実際には、マイナス金利政策が実施された当初、市場が最も懸念していたのが、金融機構に対する悪影響だった。そして、懸念が的中し、実施が始まった今年2月16日、日本のインターバンク市場の取引数が激減した。日銀のエコノミストは、「金融機構のコンピューターシステムには、マイナス金利に対応する設定がないことのほか、この種の取引に対する信頼がまだなく、消極的になっている」と分析している。
8月13日付の「日本経済新聞」の報道によると、金融庁は日銀のマイナス金利政策が、3大メガバンクグループ(三菱UFJ、三井住友、みずほ)の2017年3月期決算で少なくとも3000億円程度の減益要因になるとの調査結果をまとめた。
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