▽変化2:価格重視から品質重視へ 消費者のブランド志向が徐々に高まる
スタート当初の「安いものを買う」という姿勢に比べ、最近の消費者はネット通販で品質をますます重視するようになっている。今年の京東の販売促進キャンペーン「スーパー秒殺デー」では、スマートメガネが前年同期の約48倍売れ、スマートホーム関連製品も同9倍の売れ行きを示した。網易考拉海購の張蕾最高経営責任者(CEO)は、「80後(1980年代生まれ)や90後(90年代生まれ)の人々の関心は安全性、品質、豊かさに傾き、価格への関心が下がっている」と分析する。
だがネット通販商品の質とますます高まる消費需要とはつり合っていない。ネット価格監督管理プラットフォームの12358がまとめたデータでは、今年9月末現在、ネット通販の苦情件数は5カ月連続で前年同期比1200%以上増加した。ニセ物、生産者の名前・住所と生産許可証の番号が記載されていない「三無商品」、詐欺行為などが、通販市場にとって深刻な問題となっている。
▽変化3:「翌週配達」から「当日配達」へ 10億件を超える荷物が順調に家まで到着
安徽省合肥市の張瑶さんは過去8年間のネット通販に起きた変化を振り返り、淘宝(タオバオ)のサイトで40ページに及ぶ自分の買い物記録を見ながら、「2009年にスニーカーを買った時は、江蘇省の店舗が発送してから受け取るまでに6日かかった。今年8月に買ったTシャツは江蘇省から安徽省まで配送されたが、注文の翌日に受け取れた」と話した。配送にかかる時間がどんどん短くなり、京東をはじめとする通販プラットフォームの中には、注文した当日に商品が到着する「スピード時代」に突入したところもある。
スピードが速まるとともに、物流産業の配送の範囲も都市部から農村部へと徐々に拡大している。
実際、物流産業全体の輸送効率は安定的に向上しているが、短期間に貨物件数が激増する毎年の「ダブル11」が、通販企業のアフターサービスの面での難関であることに変わりはない。大量の貨物を処理するため、宅配企業の地方の下請業者の多くが一時的に作業員を増員している。
▽変化4:バタバタから1クリックでOKへ 「指1本で支払い」ができ、ますます便利に
北京市の国有企業で働く尹宇さんは09年の「ダブル11」のことを鮮明に覚えている。朝早くからパソコンの前に座り、割引価格の革靴をショッピングカートに入れたところまではよかったが、支払いに進むと混乱してバタバタになってしまった。「暗証番号を思い出すのにしばらくかかり、その後はネットバンキングのセキュリティキーがわからなくなってしまった。汗をかきかき、あちこち探し回ってキーを見つけ、さあ支払いをしようという段階になって画面をみると、ほしかった革靴はすでに売り切れていた」という。
8年後の今、尹さんは通販の注文の名人で、「携帯電話は銀行カード3枚、クレジットカード1枚と連動しており、(金融商品の)余額宝には十分な残高を入れてあり、それでもダメならアップルペイで対応できるようになっている」と説明する。
アリババがまとめたデータによれば、15年のダブル11では一日の取引全体に占めるモバイル端末経由の割合が68.67%に達した。12年はわずか5%だった。通販プラットフォームはそれぞれ固有の決済方法を次々に準備しており、たとえば京東銭包、易付宝などがある。世界での決済に対応した決済方法もある。分割払いやクレジット払いなどの前倒し消費も徐々に広がっている。
▽変化5:「衝突」から「共振」へ オンラインとオフラインが巨大な市場パイを共有
合肥市政務区にある大型ショッピングセンターの営業販売マネージャーは、「当センターは一度はネットショッピングによって大きな打撃を被った。特に「ダブル11」には、従業員まで大騒ぎして休暇を取り、家でネット通販に明け暮れるという有様で、店舗でのビジネスなどは話にもならなかった」と振り返る。だがここ2年ほどは、オンラインとオフラインが同時に燃え上がるのがダブル11の当たり前の光景になった。
中国社会学会の楊建華常務理事は、「オンラインとオフラインが同じ周波数で共振し『ダブ11』全体の熱狂を生み出しつつある」と指摘する。データをみると、伝統的小売産業のオンライン業務の伸びが目を引く。15年には国美電器のオンライン取引額は同114.5%増加し、蘇寧のオンラインプラットフォーム取引額も同94.93%増加した。
通販専門プラットフォームもオフラインでの実店舗オープンの歩みを加速させ、新たな成長源を模索している。たとえばネットのスナック食品ブランド・三只松鼠の場合、広報担当マネージャーの殷翔さんによると、「うちのブランド初の実店舗がオープンしてから1カ月で、来店者数は12万人を超えた」という。(編集KS)
「人民網日本語版」2016年11月10日
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