インターネット技術が進歩し、中国のネットユーザーが膨大な数になるにつれ、中国のオンライン教育業界は、芽を出してから数年の間に急速に成長し、技術やコンテンツのレベルアップを基礎とし、多様化、規範化、イノベーション化したオンライン学習サービス体系を構築し、初期の成熟期に入っている。業界内の代表的な企業は、それぞれ主戦場で優位性を発揮し、B2Cの有料教室で、成熟し、安定した利益を出すスタイルを構築している。
調査会社・艾瑞諮詢(iResearch)が最近オンライン学習サイト・滬江網と共同で発表したオンライン教育に関する調査報告「2017年中国成人オンライン外国語教育業界白書」によると、17年、中国の言語オンライン学習市場は375億6000万元(約6385億円)規模に達し、ユーザーは2600万人を突破したと予測されている。今後、その市場規模やユーザーの規模は拡大を続けると見込まれている。艾瑞諮詢は、同市場の規模が拡大している主な原因について、「▽授業の基準化が容易で、マニュアル化しやすいため、コスト削減が容易▽オンライン学習はユーザーの信頼度が向上し続けており、外国人教師とオンラインで直接勉強できることで、リアルな雰囲気を作り出し、言語使用率を向上させて、さらに多くのユーザー獲得につながる▽ユーザーの学習行為のデジタル化が進み、人工知能などの新技術をオンライン教育と結び合わせ、オリジナリティある学習の実現が進んでいる▽言語のオンライン学習の分野を細分化することで、差別化を進め、商品を豊富にすることができるため、元々オフライン教育を行っていた企業のオンラインへの移行が加速している」と分析している。
オンライン教育の発展の恩恵を受ける出版社
オンライン教育の分野が軌道に乗るにつれ、オンライン教育を実施する企業の出版社との提携も増え、出版社にとっても新たな利益を出すことができるようになっている。典型的なのが人民教育出版社と滬江網が提携して刊行した改訂版「標準日本語」だ。提携を通して、人民教育出版社の「標準日本語」も価値を高めた。同書は2014年に滬江網と提携して、内容を改訂したほか、日本語学習アプリを開発し、本にプリントされているQRコードをスキャンするとそれをダウンロードし、滬江網のサイトでオンライン学習を行うことができるようになっており、とても便利で、付加価値の高い学習スタイルとなっている。現時点で、「標準日本語」の初級版、中級版のQRコードからアプリをダウンロードしたユーザーは150万人に達し、滬江網でその授業を受けている人は5万6000人に達している。また、QRコードをスキャンしたユーザーのデータ収集も、出版社にとってはその後のサービスや図書の増刷を検討するうえで助けになっている。この一連の二次開発と共有の価値は出版社にとって従来のチャンネルから得られる販売価値を大きく上回っている。
今年9月、外語教学・研究出版社は学習塾最大手「新東方教育科技」と提携し、オンライン教育の開拓を進めている。外語教学・研究出版社の蔡剣峰社長は、「新東方などの教育プラットフォームと提携することで、文化クリエイティブの発展を促進できるほか、出版業の改革を推進できる。現在の動向を見ると、出版社は読者の立場に立って、データを基にして出版物の内容を企画しなければならず、内容が決まってからもそれで終わりにするのではなく、技術的手段を使ってさまざまなチャンネルで販売し、その後、データを収集して改良を加えることで本に収録されるようになる」と説明している。
艾瑞咨訊の統計によると、17年、言語のオンライン学習のユーザーは2644万2000人に達しており、今後数年間で、オンライン学習が一層広い分野に浸透し、ユーザーの規模も拡大の一途をたどると見込まれている。(編集KN)
「人民網日本語版」2017年11月24日
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