オーストラリア・タスマニア州のメディア「ザ・マーキュリー」が28日、日本の捕鯨船がオーストラリア南部の海域でクジラを残虐に殺戮する生々しい映像を発表した。9年前にオーストラリア税関の関係者が撮影したものだが、オーストラリア政府により長年非公開とされてきた。
ここ5年ほどの間、ニューサウスウェールズ州の環境保護事務所が国際動物保護団体・ヒューメイン・ソサエティー・インターナショナル(HSI)を代表し、国民の知る権利と情報公開を理由に、オーストラリア政府に映像の公開をたびたび申請してきた。海洋生物保護を訴える環境保護団体シーシェパードもその後、この国際法廷闘争に参加した。シーシェパードのジェフ・ハンセン氏は、「この映像には日本人がこの美しく聡明な動物に対して行った血なまぐさく、残虐で、無意味な殺戮行為がありありと記録されている」と話す。
公開された映像をみると、日本の捕鯨船はまずクジラを追跡し、火薬式のもりを発射する。もりはクジラに刺さると、先端部分の火薬が爆発するしかけになっている。仕留められたクジラは頭部を下にして船にくくりつけられ、集まってきた海鳥が流れ出した内臓を食い散らかす様子は、凄惨で思わず目を覆う。
オーストラリア放送協会(ABC)の報道によると、オーストラリア政府は映像が日本の捕鯨に反対する国際法廷闘争に利用され、豪日関係に損害を与えることを懸念したため、過去2回の公開申請を却下した。オーストラリアと日本はともに米国の盟友であり、オーストラリアは第二次世界大戦中、日本軍の戦闘機に激しい爆撃を受けた歴史がありながら、戦後の両国の関係は非常に親密だ。特にここ数年、オーストラリアは日本との関係をますます重視するようになり、とりわけ海上での協力を強化してきた。3回目の公開申請が行われると、移民・国境警備省は「国際関係への影響」を理由として再び却下したが、今年5月になって決定を翻した。
実際、オーストラリア政府は日本の残虐なクジラの殺戮行為に反対の態度を示しており、世界でも法廷闘争を通じて日本に捕鯨をやめるよう求める動きが活発だ。政府が対日関係を維持しようとして日本の捕鯨映像を隠匿し続ける態度には、オーストラリア国民から強い不満の声が上がった。労働党のトニー・バーク議員は取材に答える中で、「政府にもっと積極的な行動を取り、オセアニアに生息するクジラが日本の捕鯨船の殺戮の犠牲にならないよう保護することを強く呼びかける」と述べた。
緑の党のピーター・ウィッシュ-ウィルソン議員は、「この映像は海外で広く流されるべき」とした上で、「私は最近、日本でこの問題について政界関係者や社会活動家と会談した。その中で、日本の人々は海外での捕鯨活動について何も知らないということがわかった」と述べた。日本には鯨肉を食べる伝統があり、日本の捕鯨船は長年「科学的調査」を口実に、オーストラリア周辺や世界の別の海域でクジラを大量に殺戮し、海洋生態系のバランスをひどく損なっただけでなく、極めて残忍な手段を用いることで、世界中の関心と強い非難を集めてきた。
シーシェパードは長年にわたり、海の上で日本の捕鯨活動を阻止してきた。特別仕様の船を購入して日本の捕鯨船に力で対抗することもあった。だが今年8月、「資金の問題により、この船を問題ある海域に送り出して日本の船隊の行動を阻止し、そこに棲むクジラたちを保護することができなくなった」との声明を発表した。
2014年に、国際司法裁判所は日本の捕鯨を「科学的でない」と結論づけ、それから1年間、日本の捕鯨活動は停止された。だが日本の食品市場に強いニーズがあることから、日本はミンククジラの捕獲数が3分の2に減らされた後、捕鯨を再開した。報道によると、今月の早い時期に、日本の船舶が南極海域に行き、「科学研究のため」として、300頭以上のクジラを惨殺したという。(編集KS)
「人民網日本語版」2017年11月29日
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