日本では学生も社会人も高齢者も、街中を歩く人はほとんどがマスクをしており、まるで外出の定番アイテムのようだ。それだけでなくなんとマスクをした人だけが参加するお見合いイベントまであるという。データによると、昨年日本人一人当たりが所有するマスクの平均数は39枚で、日本全国で毎年マスクに消費する金額は約245億8000万円に達するという。
日本でマスクがサブカルチャーとなった歴史は、20世紀初頭に人々を脅威に陥れたスペインかぜにまで遡る。当時、日本での感染者数は2300万人に達したが、現在ではそれほどまで猛威を振るうインフルエンザは蔓延していないにもかかわらず、しかも新鮮な空気の日本でどうしてマスクをする必要があるのだろうか?
ほとんどの人は、「マスクをするのはウイルス感染や花粉症の予防のため」としている。マスクが病原菌の感染を確実に防ぐという研究結果はなく、それどころか、高温多湿の環境下でマスクをすることで病原菌の感染を加速させる恐れすらある。しかし、日本では他人と交流する上で礼儀が最も重視され、公共衛生の意識が非常に高いため、咳が出るような場合は必ずといっていいほどマスクを着用する。なぜなら日本人にとって自分の不注意から他人に病気を移してしまった場合、非常に恥ずかしいことであるからだという。
また、防寒や風邪予防のためにマスクをする人もいる。もう一つ、より重要なのはマスクが強力なファッションアイテムとなっていることだ。髪を洗っていない人が外出する際に帽子をかぶるように、ノーメイクの人がマスクをして外出するということもあるという。さらに、マスクは表情を隠すことができることから、日本人の根本にある「本音と建前」の文化にも関係があるという。「本音」は人の心の中の本当の気持ちや欲望のことで、「建前」は公衆の場で振舞うときに見せる行動・言動を指し、ほとんどの日本人は「本音」は隠すべきだとしている。そしてマスクをすることで、自分の本当の気持ちと公衆の場で振舞うべき態度の間に生じる矛盾が解消されるという訳だ。
2011年、日本のあるニュースサイトが渋谷を始めとする都内各所で100人にインタビューを行ったところ、そのうち健康のためにマスクをしていたのはわずか30%ということが明らかになった。多くの女性が、マスクをすることで自分の顔がより小さく、目がより大きく見えるようになり、ミステリアスな雰囲気を与えることができると考えていた。
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