最近のトマトはますます硬くなり、触ってみるとじゃがいものようで、包丁で切って食べても、子供の頃に食べた完熟したトマトのような、「皮を剥くとたちまち汁が滴り、かじりつくと口中に酸味のある甘さが広がる」という感覚がまったくない。市場でよく食材を購入する人ならば、こうした経験があるかもしれない。揚子晩報が伝えた。
一部のネットユーザーは、この理由を化学肥料やホルモン、旬ではない時期に栽培しているためなどとしている。その真の理由について、このほど江蘇省農業科学院が栽培する野菜の新品種展示・商談会を取材し、知ることができた。
江蘇省農業科学院科学技術サービス所の羊杏平所長は、「トマトが美味しくないのは、生産中に化学肥料を過度に使用するといったことと一定の関連性を持つが、最も重要なのは品種だ。美味しくない品種であれば、どのように栽培しても美味しくならない。農業科学院が現在栽培しているトマトの品種には、食感が優れたものが少なくないが、問題はこれを栽培しようとする人がいないことだ」と指摘し、さらに次のように説明した。
本来ならば消費が生産を左右し、消費者が食べたいものを農家が栽培するはずだ。ところが実際の生産状況はまったく異なる。トマトの生産には、育種、栽培、卸売、小売、消費という5つのサイクルがある。市場で現在発言権を握っているのは、消費者でも栽培者でもなく卸売業者だ。全国範囲で流通する構造のもと、市場の野菜が数百キロ、さらには数千キロ離れた所から運ばれることもよくある。これほどの長い距離と時間で、野菜を不備なく売り出そうとすれば、保存しやすく痛みにくいことが最も重要になる。そのため卸売業者はトマトを調達する際に、痛みにくい品種を特に好み、食感は二の次となっている。今や生産と流通の構造がすべて変化し、食感の優れた品種は無情にも淘汰されてしまった。
この問題を解消するには、どうすべきだろうか。江蘇省農業科学院果樹研究所の兪明亮所長は、「高速鉄道や高速道路の延長、冷凍庫や冷凍輸送車などのコールドチェーン技術の普及と整備、ネット通販と物流業の成長、包装技術の向上により、野菜や果物が消費者に届けられる時間が大幅に短縮されている。市場は今後さらに細分化される。一般的な消費者は今後も痛みにくい野菜や果物を購入するかもしれないが、味にこだわりのある少数の消費者に対しては、痛みにくいよう個別できちんと包装したり、直売店や宅急便によって販売することで、ハイエンドの需要を満たすことができる」と話した。(編集YF)
「人民網日本語版」2018年5月22日
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