ボアオ・アジアフォーラム2018の開催期間中に、中国は金融産業の対外開放を拡大するための一連の新たな措置を打ち出した。「中国経済週刊」が伝えた。
すると上海が真っ先に反応した。上海市金融サービス弁公室の責任者が今月13日に述べたところによると、「上海に国際金融センターを建設するという国家戦略を徹底実施するために、上海市は開放のさらなる拡大に向けた先行実施・先行テストの措置をすでに整えており、上海での国際金融センター建設は加速の段階に入った」という。
▽上海での国際金融センター建設への約10年間の著しい成果
上海に国際金融センターを建設する計画は2つの重要な一里塚に到達している。1つは1992年に開催された中国共産党第14期全国代表大会の党活動報告で、「できるだけ早く上海を国際経済・金融・貿易センターの1つに育て上げ、長江デルタ地域と長江流域エリア全体に経済の新たな飛躍をもたらす」と提起されたことだ。もう1つは2009年3月25日、国務院常務会議が上海での国際金融センター建設に関する意見を審議し、原則として可決し、20年までに上海を中国の経済力と人民元の国際的地位に見合った国際金融センターに基本的に育て上げるとしたことだ。
現在、上海には株式、債券、通貨、外貨、商品先物取引、店頭販売(OTC)デリバティブ(金融派生商品)、金、知的財産権取引を含む全国的な金融市場システムが基本的に構築されている。
データをみると、17年の上海金融市場の取引額は約1430兆元(約1京4322兆2465億円)に上り、ライセンスをもった金融機関1537ヶ所があり、国内外の金融機関が集まる重要な集積地になっている。上海の域内総生産(GDP)に占める金融産業の割合は17%を超えた。
上海での国際金融センター建設の成果は海外の評価機関にも認められている。英国のシンクタンクZ/Yenグループが今年3月26日に発表した「世界金融センター指数(GFCI)」によると、上海の順位は17年3月の13位から6位に上昇した。
▽上海が国際金融センターになるまであとどれくらいか?
上海は中国の金融センターではあるが、国際金融センターではない。それでも明らかに発展の優位性を備えている。上海交通大学上海高級金融学院の厳弘副院長(教授)は、「上海に国際金融センターを建設しようとする場合、その優位性は中国の経済規模が非常に大きいこと、中国の巨大な経済規模という支えと上海の相対的に整った市場システムが備わっていることにある。この2点は上海がさらに建設を進めて国際金融センターになるための重要な起点であり、支えになるものだといえる」と述べる。
中央財経大学中国銀行業研究センターの郭田勇センター長は、「上海のインフラおよび各種の金融取引所は比較的整っている。金融をめぐる環境全体が比較的成熟している」との見方を示す。
だがロンドンやニューヨークのような成熟した国際金融センターと比べれば、上海には引き続き発展の余地がある。
まず必要なことは対外開放レベルの向上だ。厳副院長は、「上海は金融の開放レベルが相対的に低い。これには国際機関の参入レベル、市場全体の参入レベル、オフショア業務の割合などが含まれ、ロンドンとニューヨークという世界2大金融センターに比べて弱い。今後、上海を真のグローバル金融センターにしたいなら、こうした点についてやるべきことがまだたくさんある」と指摘する。
国が打ち出した20年までに上海を中国の経済力と人民元の国際的地位に見合った国際金融センターに基本的に育て上げるとの目標達成まで、あと1年半しかない。目標を予定通りに実現することは可能だろうか。
厳副院長は、「この目標は段階的目標と最終目標の2つに分けられる。上海の最終目標はロンドン、ニューヨークと並び立つグローバル金融センターになることで、地域レベルの金融センターにとどまらない。鼎立するグローバル金融センターという目標は壮大で、短期間で実現できるものではなく、漸進的プロセスをたどる必要がある」と指摘する。
また厳副院長は、「私は20年に必ず何らかの標準に到達しなければならないとは思わない。国際金融センター建設の道をひたすら前進していけば、中国の経済規模と金融発展レベルがさらに深まり、さらに専門的になり、さらに国際化して、上海が国際金融センターになるという目標は遅かれ早かれ実現できると考えるからだ」との見方を示す。(編集KS)
「人民網日本語版」2018年5月29日
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