第13回上海協力機構(SCO)加盟国国家安全保障会議事務官会議が21、22両日に北京で開催された。SCO加盟国拡大後初の安全保障会議事務官会議であり、安全保障協力について加盟国の共通認識を一層固め、来月の青島サミットに向けた準備をすることが重要課題だった。(文:華益声・国際問題専門家。人民日報海外版コラム「望海楼」掲載)
会議は友好的な雰囲気で行われ、建設的でもあった。各国は力を合わせて共通の、総合的、持続可能、協調的、平等、不可分の安全保障メカニズムを構築し、現代の脅威と試練への共同対処を検討し、平和と安定を維持し、人類運命共同体という共通理念を確立する必要性を強調した。
ちょうど4年前の5月21日に習近平国家主席は、上海で開催されたアジア信頼醸成措置会議(CICA)首脳会議で「アジアの安全保障観を積極的に確立し、安全保障協力の新局面を共に築く」と題する基調演説を行い、共通の、総合的、協調的、持続可能なアジア安全保障観を積極的に提唱し、安全保障理念を革新し、地域の安全・協力の新枠組を築き、「共に建設し、共に享受する、ウィンウィン」のアジア安全保障の道を歩むべく努力すべきだと表明した。共通の、総合的、協調的、持続可能な安全保障理念がすでに中国の特色ある大国外交の重要な中身となり、SCOの安全保障協力実施における基本原則ともなったことが分かる。
「共通」とは、各国の安全を尊重し、保障するということだ。SCOは加盟国間の安全上の相互信頼の確立を強調している。2007年の元首理事会第7回会議は「上海協力機構加盟国長期善隣友好協力条約」に署名し、加盟国国民の「世々代々の友好、平和の恒久維持」という思想を法的形式で確定した。SCOは常に「開放、透明、第三国を標的にせず」との原則を堅持し、加盟国は同盟ではなくパートナーとなり、軍事・政治同盟の構築を謀らず、冷戦思考と強権政治に断固反対することを強調している。SCOは安全保障の普遍性を支持し、一国が安全で他国が安全でないことがあってはならず、一部の国々が安全で他の一部の国々が安全でないことがあってはならず、ましてや他国の安全を犠牲にして自らのいわゆる絶対的安全を謀ることがあってはならないとしている。
「総合」には、伝統的分野と非伝統的分野の安全を統合的に計画・維持する狙いがある。今回の会議で各国は、SCO地域の安全保障情勢、「3つの勢力」(極端な宗教勢力、民族分裂勢力、テロ勢力)の合同取締り、麻薬輸送・販売、国際組織犯罪の取締り及び国際情報セキュリティーの確保などの問題について踏み込んだ意見交換をし、SCO地域への浸透を図る国際テロ組織の挑戦への対処について各レベルから提言を行った。
「協調」とは、対話と協力を通じて、各国と地域の安全を促進することだ。各国はアフガン情勢の安定について協力を強化し、アフガン問題の政治的解決を後押しし、SCO地域の安全を維持し強固にすべく尽力する。アフガン情勢の早期の安定回復はSCO地域の安全を維持し、強固にするうえで最も重要な要素の1つだ。各国は国際社会に対して、国連主導の協調の下で協力を強化し、アフガン問題を政治的に解決し、アフガン経済の持続可能な発展と国民の幸福のために環境を整えるよう呼びかけた。
「持続可能」には、発展と安全を同様に重んじて恒久的安全を実現する事が必要だ。習主席は外国側代表団との合同会見で、総合的な施策、個別対策と抜本的対策の兼備という安全保障ガバナンスモデルを推し進めるべきだと指摘した。
加盟国拡大後、SCOの安全保障協力はその潜在力がさらに増し、担う責任がさらに重くなり、地域各国の人々と国際社会の一層の期待を担うようになってきている。共通の、総合的、協調的、持続可能な安全保障観を堅持し続けることは、SCOが複雑さを増す安全保障情勢に対処し、地域の安全と安定を維持するうえでの切り札だ。(編集NA)
「人民網日本語版」2018年5月25日
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