王毅国務委員兼外交部長(外相)が16日から24日にかけてフランス、スペイン、ポルトガル、アルゼンチンを公式訪問し、アルゼンチンでG20外相会議に出席したほか、多国間の場を利用してオランダ、チリ、南アフリカ、ドイツ、イタリア、英国、サウジアラビア、オーストラリアの外相と会談した。(文:賈秀東・中国国際問題研究院特別招聘研究員。人民日報海外版コラム「望海楼」掲載)
中国外相の欧州・南米訪問は新指導部発足後初であり、二国間外交も多国間外交もあり、広範な議題が取り上げられたが、特に重要なキーワードとして次の3つが挙げられる。
(1)発展。王部長は「現代世界の抱える多くの問題は、つまるところ発展問題と関係する。世界の発展情勢は依然厳しく、引き続き発展問題を世界のマクロ政策調整において際立った位置に据え、常に途上国の懸念に配慮し、途上国の利益を確保する必要がある。今年は中国の改革開放40周年だ。過去40年間に中国では7億人が貧困を抜け出した。これ自体が世界の発展事業に対する重要な貢献だ。しかも中国は自らの発展を実現すると同時に、世界経済の成長にも持続的で強大な原動力を提供してきた」と指摘した。王部長が各国に伝えた重要なメッセージは「今後の中国の発展は依然として各国の発展にとって重要なチャンスであり、脅威ではない。発展に焦点を合わせた『コミュニティ』を構築し、共同発展を促進するとの中国の決意が変わることはない」というものだ。
(2)協力。王部長は数10回の外交活動で、中国と外国の実務協力を特に強調した。協力において肝要な点の1つは、発展戦略を連携し、新たな協力の潜在力を掘り起こし、新たな協力空間を切り開き、各自の国の発展に寄与すると同時に地域と世界にも幸福をもたらすことだ。「一帯一路」イニシアティブは実務協力推進の重要な足がかりであり、戦略の連携を実現する重要な媒体だ。王部長はほぼ全ての外交の場で各国と「一帯一路」に言及し、胸襟を開いて疑念を解き、説明を行った。「一帯一路」イニシアティブはグローバル化という時代の要請に順応し、関係各国の人々に確かな幸福をもたらし、各国の共同発展・繁栄実現に新たな道を開くものであり、力強い生命力と大きな将来性を備える。
(3)開放。開放型世界経済の構築推進は、今回の歴訪の重要議題だ。不確定性を増す現在の国際情勢、一国主義や保護主義の台頭する反グローバル化の潮流を前に、王部長は共に多国間主義プロセスを推し進め、世界貿易機関(WTO)の規則を核心とする国際貿易秩序・体制を守り、開放型世界経済を構築するよう各国に呼びかけた。多国間主義を堅持し、グローバル・ガバナンスを整備し、利益共同体を整備することが時代の潮流に沿い、各国の共通利益にかなうことを歴史は正負両面から証明している。保護主義を遂行すれば、他国に対して扉を閉ざし、自らの道もふさぐことになる。
王部長の表明した中国側の立場に対して、各国は前向きな反応を示した。中国は現在の国際社会における重要なパワーであり、政治・経済・戦略など各レベルで重要な役割を発揮しているとの声も挙がった。各国はいずれも、「一帯一路」イニシアティブは世界経済にとって重要な意義があり、自らの発展戦略と「一帯一路」イニシアティブとの連携を積極的に検討したいとの考えを示した。各国の姿勢表明を見ると、一国主義と保護主義は時代の潮流に沿わず、正しい選択でない。
王部長の今回の歴訪においては一つ興味深い出来事が生じている。王部長の多国間の場での各国外相との会談について、中国側プレスリリースの表現は通常「会談」という言葉を使っているが、オーストラリア外相との会談のみが「要請に応じた会談」となっている。これは中豪関係が現在抱える困難を反映しているといえるだろう。この困難は結局のところ、オーストラリア側が伝統的思考から脱却できず、中国及びその急速な発展を色眼鏡で見ているためだ。これに対して王部長は「中国が歩んでいるのは伝統的な大国と完全に異なる発展の道であり、他国の内政に干渉したことはなく、ましてや他国に対して何かを浸透させようなどとしていない。われわれの理念はオーストラリアを含む全ての国と対等な協力を実施し、互恵・ウィンウィンを実現するものだ」と明確に指摘した。
今回の歴訪を見ると、小異を残して大同につき、一致点を求めて相違点を解消し、戦略的意思疎通と実務協力を強化することが、今も各国と中国との関係における主流となっている。中国は改革を堅持し、開放を拡大し、国民中心の発展理念を実行に移しており、常に世界平和の建設者、世界発展の貢献者、国際秩序の維持者であり、影響力、感化力、形成力が一層高まることは間違いない。(編集NA)
「人民網日本語版」2018年5月24日
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