W杯がスタートし、中国のザリガニもブームになった。中国産のザリガニ10万匹が国際定期貨物列車「中欧班列」に乗ってロシアに到着し、世界各地のサポーターの胃袋を征服しようとしている。
湖北省潜江市のザリガニ加工場で、山東省出身の女性の曲雲瀟さん(25)は、毎日休むことなくザリガニの皮をむいて、味見して、ザリガニの形や色合い、食感、辛さをロットごとに記録している。彼女はプロの「ザリガニソムリエ」だ。天猫(Tmall)でザリガニの通信販売が流行したことで、「ザリガニソムリエ」という新しい職業も生まれた。
曲さんは2年前に大学を卒業後、英カーディフ大学に留学し、サプライチェーンを学んだ。彼女は昨年、修士課程を修了して帰国すると、天猫に出店する信良記に入社した。年間30万元(1元は約17円)の高い初任給はをもらえるし、毎日さまざまな味のザリガニを食べることができる彼女のこの「ザリガニソムリエ」という仕事は、多くの人にとっては最高の職業のように見えるようだが、実は外部の人にはわからないような苦労も絶えないのだという。
工場では毎日数十トンのザリガニが各種ラインを経由し、味付きの冷凍ザリガニ製品になり、全国各地の天猫冷凍庫センターに運ばれる。ザリガニは丁寧に洗浄された後、人工仕分けの2本のラインを通過し、フライのラインに入る。それから長時間スープに浸され、作業員によって一匹ずつ並べられ、マイナス196度で「瞬間冷凍」される。
この作業を終えた後に、ザリガニソムリエの曲さんはまず、ザリガニの冷凍が十分であるかをチェックする。加熱後は、ザリガニの身が完全な形となっているかチェックする。身の弾力性は最も数値化しづらいが、曲さんは無数のザリガニを食べその基準を正確に把握している。次の味見に移る前の口直しのために、ザリガニソムリエはひりひりする感覚を取り除くための牛乳と塩辛さを取り除くためのミネラルウォーターで口をゆすぎ、最大限の精度を保証しなければならない。基準に合致していないザリガニがあれば、同ロットの全商品を廃棄することになるからだ。
ザリガニソムリエはザリガニを毎日平均で1キロ食べ、多い日は2.5キロに達するという。W杯と天猫の6.18激安セールの対応で、工場は翌日2時まで残業することが多い。曲さんにとって、ザリガニを毎日100匹食べるのは至って当たり前のことになってしまっている。そのため、彼女は仕事以外ではザリガニを食べようとは思わないそうだ。
曲さんの会社にはプロのザリガニソムリエが約50人在籍しており、年収は最高で60万元に達する。同社は生産能力を拡張しており、ザリガニソムリエを急募中だ。しかし同社は、一人前のザリガニソムリエは調理方法から品質管理、サプライチェーンなどの各サイクルを理解する必要があり、このような人材はなかなか見つかりにくいとしている。(編集YF)
「人民網日本語版」2018年6月20日
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