清華大学の施路平研究チームは先ごろ、同チームの研究成果である脳型コンピューターチップ「天機芯(Tianjicチップ)」を発表した。このチップは世界初のハイブリッドアーキテクチャ脳型チップであり、世界で初となるパルスニューラルネットワークと人工ニューラルネットワークの両方に対応できる人工知能(AI)チップでもある。現在、この研究成果は「ネイチャー」誌のカバーストーリーとして掲載され、中国のチップとAIの二大分野で「ネイチャー」誌への論文掲載ゼロという状況を打破した。人民日報が伝えた。
現在、AIチップの代表的な開発方向性は、主にディープラーニング高速化 (人工ニューラルネットワークに対応) と脳型チップ(主にパルスニューラルネットワークに対応)の二つにまとめることができる。アルゴリズムとモデルが異なるため、現在AIチップは人工ニューラルネットワークかパルスニューラルネットワークのどちらかにしか対応できず、コンピューターと神経科学という二つの分野の優位性を発揮することは難しい。「天機芯」は資源の再構成を通じて、100分の3の付加処理を行うだけでコンピューター科学と神経科学に基づくほとんどのニューラルネットワークモデルを同時に処理することができ、ハイブリッド型モデル構築に対応し、時空域協調配置システムを形成して、それぞれの優位性を発揮し、エネルギー消費を低減し、処理スピードを上げられると同時に、高い精度を保つことも可能となっている。
2015年、施路平チームは第1世代「天機芯」を設計し、設計面の改良を続けた結果、2017年に第2世代「天機芯」を世に送り出した。現在世界的に先進なIBMの「TrueNorth」チップと比べ、2017年にテープアウトに成功した第2世代「天機芯」は密度が20%向上し、スピードは少なくとも10倍アップし、帯域幅は少なくとも100倍広がり、適応性と拡張性がより高まっている。
施路平氏の説明よると、2014年に清華大学は精密機器学部の名義の下に7学部が連携した脳型コンピューター研究センターを設立し、施氏はセンター長に就任した。独自に研究開発した「天機芯」をベースに、同センターは第1世代脳型コンピューターソフトウェアツールチェーンを開発し、機械学習プログラミングプラットフォームから「天機芯」に至るまでの自動マッピングとコンパイルへの対応が可能となった。また第1世代脳型コンピューターシステムを開発し、さらに脳型自律運転自転車を利用して拡張可能なハイブリッド人工汎用スマート開発デモンストレーションプラットフォームを構築し、1枚の「天機芯」で自転車の自律バランスや動態感知、目標物観測、追跡、自動障害物回避、障害物通過、音声理解、自律意思決定などの機能をデモンストレーションした。(編集AK)
「人民網日本語版」2019年8月1日