8月5日、中国人民銀行(中央銀行)関係部門の責任者は人民元相場について、記者からの質問に答えた。
【記者】人民元相場が「1ドル7元台」(1ドルは約106.2円、1元は約15.1円)になったのはなぜか。
【責任者】一国主義と保護貿易主義的な措置及び中国に対する追加関税の予測などの影響により、5日の人民元の対米ドルレートは低下して、7元を突破したが、人民元はバスケット構成通貨に対しては安定と強さを維持している。これは市場の需給と国際為替市場の変動を反映したものだ。
中国が実施しているのは市場の需給を基礎とし、バスケット通貨を参考にして調節を行う、管理された変動相場制度だ。市場の需給は相場が形成される中で決定的な役割を果たし、人民元相場の変動はこのメカニズムによって決まり、これは変動相場制には必ずあることだ。グローバル市場という角度から眺めると、通貨を交換する価格として、相場が変動するのは当たり前のことであり、変動があるからこそ、価格メカニズムが資源配置と自動調節の役割を発揮することが可能になる。過去20年間の人民元相場の変化を振り返れば、人民元の対ドルレートは8元台だったときもあれば、7元台だったときも、6元台だったときもあり、現在はまた7元台に戻った。説明しなければならないのは、人民元相場が「1ドル7元台」という、この「7」は年齢のように、過ぎ去って戻ってこないものではなく、堤防のように、決壊して水が大量に流れ出すと一気に千里の遠くまで広がるというものでもないことだ。「7」はダムの水位のようなもので、洪水期には高くなり、渇水期になると低くなり、上昇も低下も正常なことだ。
最近、人民元の対ドルレートは低下したが、歴史的にみれば、人民元は全体としては値上がり傾向にある。過去20年間に国際決済銀行(BIS)が算出した人民元の名目実効為替レートと実質実効為替レートはいずれも30%前後値上がりし、人民元の対米ドルレートは20%値上がりし、人民元は国際主要通貨の中で最も強い通貨だった。今年に入ってからは、人民元は国際通貨システムの中で引き続き安定した地位を保ち、バスケット構成通貨に対して強く、中国外貨取引センターのCFETS人民元為替レート指数は0.3%上昇した。2019年始めから8月2日までで人民元の対米ドルレート基準値は0.53%の低下となり、同期の韓国ウォン、アルゼンチンペソ、トルコリラなど新興市場の通貨の対米ドルレートよりも低下幅は小さく、人民元は新興市場の通貨の中で比較的安定した通貨であり、ユーロ、英ポンドなどの準備通貨よりも強いといえる。