東方金誠国際信用評価有限公司の王青チーフマクロアナリストは、「目下の国内通貨政策は『自国を主とする』特徴が明らかで、FRBの政策の影響はそれほど強くない。FRBが利下げしても、中国が後を追う確率は高くない」との見方を示した。
今月21日、人民銀は10月のローンプライムレート(貸出基礎金利、LPR)を発表し、1年満期は4.2%、5年以上満期は4.85%で、いずれも9月の金利を据え置いた。中国国際金融有限公司(CICC)は、「LPRをこれ以上引き下げないことから、政府の政策的立場は中立に向かっていることがわかる。通貨政策が最近の消費者物価指数(CPI)の急速上昇による制約を一層受けるようになる可能性は排除されない。9月にはCPIが3%に迫り、これは完全に豚肉価格の急上昇が後押ししたものではあるが、人民銀の最近の市場とのやりとりでは、3%接近はやはり通貨政策を制定する際に考慮する要因の一つになる可能性があるという」と述べた。
人民銀通貨政策司の孫国峰司長は15日の発表会で、「現在の中国には持続的なインフレの基礎もデフレの基礎も存在しないが、インフレ観測が拡散して、悪循環を生じることは防がなければならない。人民銀は予測の変化に注意を払う必要があり、改革の手法を通じて資金調達コストを引き下げることがより必要だ、安定的な通貨政策を実施することで、広義のマネーサプライ(M2)および社会融資総量の成長率と国内総生産(GDP)の名目成長率とがほぼ釣り合うよう維持し、安定したシグナルを発する。現在の預金の基準金利は安定を保つ。貸出の金利は改革を通じて主にLPRに注目が集まり、これは予測の安定にもプラスであり、こうしてこそ両者のバランスをはかることができる」と述べた。
中国が他国の後を追って利下げをする必要があるかという問題について、人民銀の易剛総裁は9月に、「現在の中国経済は合理的な範囲にあり、物価も比較的穏やかな範囲に収まっている。中国の通貨政策は定力を維持し、安定した方向性を堅持し、現在の状況を安定させ、周期に逆行した調節を強化し、M2及び社会融資総量の成長率と名目GDPの成長率とがほぼ釣り合うよう維持し、水を並々と注ぎ込むようなことは断固としてしないと同時に、レバレッジ比率の安定を保つよう注意し、社会全体の債務を持続可能な水準にする必要がある」と指摘した。
中信証券固定収益部門の明明チーフアナリストは、「グローバル経済は長期的な下ぶれ圧力に直面する可能性があることを考えると、国内の通貨政策はより大規模な緩和政策を取ろうと急がずに、通常のツールの長期的な効果を保つことが大切だ。中国経済の成長率が標準に達することを前提として、経済発展の質は優先順位で成長率を上回り、第4四半期には通貨政策を観察する重要な窓口になる可能性がある」と述べた。(編集KS)
「人民網日本語版」2019年11月1日