香港紙:就職難の大卒生700万人にケア
20日付香港紙・南華早報に、「就職難に見舞われる大卒生をいかにケアするか」と題する評論が掲載された。封建時代の中国では、科挙試験にチャレンジすることは、一般庶民が官僚になり、功績を挙げてご先祖様の恩義に報いるための唯一の方法だった。現代でも、数百万の学生が大学受験勉強に昼夜の別なく励んでいる。大陸部の親は、昔と同様、「苦労して学業に励むこと」が王道であると信じて疑わない。環球時報が報じた。
「大学学部卒」という学歴は、良い仕事と良い生活が保障されることを意味しており、周りからは羨望の眼差しが向けられ、家族や親せきも鼻が高い。しかし、このところ、大学生の就職がお先真っ暗の状態であるとたびたび報道されていることから、親の方も気が気でない。統計データによると、今年の大学卒業生は700万人に迫り、過去最高となる見込みだが、就職先を見つけた学生はごく一部で、就職状況は史上最悪となっている。北京では、4月時点での就職内定率はわずか28%。教育部門の関係者は、「今年の卒業生は、2008年以降最も冷え切った就職戦線を乗り越えなければならない」と、大きなため息をついている。
就職できない大卒生が大量に生まれる見通しから、指導層には社会安定に対する不安感が芽生え、その結果、就業の創造を大々的に推進する政策が講じられている。
今年の大卒生は、ここ数年で最も熾烈な就職戦線に巻き込まれている。しかし、大陸部の経済成長は減速している。皮肉なことに、中国では、就業ポストが不足している訳ではないのだ。活気溢れる珠江デルタ地域や長江デルタ地域では、労働者不足が叫ばれている。しかし、工場でのキツイ作業は、大学生の親にとって、理想の仕事とは程遠い。大卒生のほとんどは、大都市の政府部門、国有企業、多国籍企業に狙いを定めている。しかし、これらの機関は、新卒採用枠を狭めている。その結果、多くの親は、成長して大人になった子供を他の小都市で就労させたり、小さな私営企業で働かせるよりは、むしろ実家に留めたいと思うようになった。
就業の見通しの悪さは、アンバランスな大陸部経済の実態を反映している。周知の通り、消費型業界が雇用する大卒生の数は、その他の業界よりも多いが、指導層が図る経済成長モデルの転換は、依然遅々として進んでいない。国務院の通達によると、政府は、自主創業を予定している大学生を対象に、貸付の提供や居住制限の緩和などの措置を行う予定という。しかし、消費・私営業を主体とした経済モデルに転換しない限り、これらの政策の効果は期待できない。また、「スターバックスでアルバイトする方が、無職よりマシ」という過酷な現実に直面せざるを得ない親は増える一方だ。(編集KM)
「人民網日本語版」2013年5月21日