工業・情報化部(工業・情報化省)が先週発表したデータによると、中国のスマートフォンは依然として急速な発展段階にあり、昨年1-10月の出荷台数は、前年同期比178%増の3億4800万台に達した。しかし、スマートフォンの急速な普及で生活が便利になった一方、プレッシャーを感じている会社員もいる。パソコンに近い機能を持つスマートフォンの登場により、労働時間と休憩時間の境がますます曖昧になったためだ。重慶晩報が伝えた。
▽スマートフォンのせいで休日も仕事
春節(旧正月、今年は1月31日)の長期休暇が間近になり、すでに心ここに在らずの会社員もいる。しかし、大手ネットワーク企業で働く張さんは少しもうれしくない。「スマートフォンを持つようになってから、休日も会社以外の場所で仕事ができるようになった」。張さんによると、以前はパソコンがないと受信・処理できなかったメールやファイル・写真が、それほど複雑でなければスマートフォンでも対応できるようになったという。数年前なら週末に急ぎの仕事が入っても、上司ができるだけ月曜日以降に回してくれたが、今は違う。「24時間体制で仕事するようになった。対応が必要な仕事があれば、いつでもメールボックスに送信される。すごいプレッシャーだ。時々スマートフォンを壊してしまいたくなる。そうすれば静かに過ごせるかもしれない」。
▽機能がパワーアップするスマホ、将来はパソコンに取って代わる?
取材の結果、張さんと同様の悩みを抱える会社員が実は少なくないことが分かった。彼らは皆、「いつでもどこでもメールの送受信ができ、ネット検索ができ、微信(ウィーチャット)やQQ(インスタントメッセンジャー)にアクセスできる。スマートフォンはビジネス機能が充実しているため、いつでもどこでも仕事ができてしまう」と口を揃える。
彼らが心配するのは、「スマートフォンがますますタブレットPCに近づき、機能がパワーアップするにつれ、今はパソコン無しにはできないことも、将来的にはスマートフォンでできるようになるのではないか」という点だ。そうなれば、労働時間と休憩時間の境がますますあいまいになってしまう。
▽心理学者:ストレスには冷静に対処を
新橋病院神経内科の心理カウンセラー・戴光明教授は、スマートフォンが社会人にもたらす精神的ストレスについて、「現代社会において、適度な残業は避けられないものだ。休憩時間に残業の知らせを受けた場合、まずは冷静になり、感情を抑える必要がある。最も良い方法は深呼吸で、それから決定を下すと良い」とアドバイスしている。
▽社員はロボットではない
重慶大学人的資源開発研究所の賀芒則准教授はスマートフォンの影響について、次のように指摘する。
スマートフォンは仕事やコミュニケーションをより便利にする。急ぎの用事が生じた場合、職場に戻らなくても対処できるのは良いことだ。
一方で、スマートフォンのせいでいつでもどこでも仕事ができるというのは、確かに休憩の妨げとなる。企業の上層部は、特別緊急の場合を除き、退勤した社員に連絡を取ったり仕事を振らないといった制度を打ち立てるべきだ。社員はロボットではない。休む権利も法的に守られている。(編集SN)
「人民網日本語版」2013年1月8日