国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は3月31日に横浜市で最新の報告書を発表し、世界的な気候変動の人類の安全に対する影響を詳細に説明し、全世界に対して効果的な対策を講じるよう促した。人民日報が伝えた。
IPCC総会は3月25日に横浜で開幕し、第2作業部会報告書(影響・適応・脆弱性)について議論し、これをまとめた。同報告書は、気温の上昇により広範囲で不可逆的な影響が生じやすいことを強調した。20世紀末と比べ気温が摂氏2度上昇した場合、熱帯・温帯地域の小麦、イネ、とうもろこしの生産に悪影響が生じる。3度以上上がった場合、南極、グリーンランドの氷河が溶けることで、海面が上昇する危険性が高まる。グリーンランドの氷河が溶けることで、海面が1000年後に7メートル上昇する。気温が4度以上あがった場合、世界の食糧安全に深刻な影響が生じる。IPCCが昨年発表した報告書は、温室効果ガスの排出が現在のペースで増加した場合、今世紀末の平均気温は産業革命前と比べて最大で5.4度、20世紀末と比べて4.8度上昇すると予想した。
同報告書は、気温上昇がもたらす8種の主要リスクを指摘した。これには海面上昇による死亡と疾患の増加、食品安全、内陸部の洪水、農村の飲用水、灌漑の問題などが含まれる。IPCCが今回発表した同報告書は、昨年9月に発表された第1作業部会報告書と、来月発表される第3作業部会報告書とセットになり、今年10月までに総合的な報告書が作成される。70カ国の1700人以上の専門家が、同報告書の作成と審査に加わった。
中国社会科学院都市発展・環境研究所の研究者である鄭艶博士は取材に応じた際に、「今回の報告書は、第4次評価報告書以来の最新の科学の進展を総括・記述し、気候変動がいかに各地域・各分野に影響を及ぼすかというリスクの特徴、いかに気候変動のリスクと不利な影響を管理・抑制するかについて指摘した。国は開発水準の差はあっても、いずれも予防の意識が低い」と指摘した。
鄭氏は、「気候変動は環境問題でもあり、社会発展の問題でもある。開発途上国にとって、気候変動は未来の発展がより厳しい課題に直面することを意味する。同報告書の科学的な結論は、各国の気候変動交渉において有利な武器になる。開発途上国は気候変動が自国にもたらす影響に注目し、どのようなメカニズム・措置・手段によって効果的な適応行動を推進できるかに注目するべきだ。開発途上国は同報告書の最新の結論により、気候変動枠組条約の交渉の進展を促そうとしている(特に環境適応に関する資金・損失・損害に関する内容)」と語った。(編集YF)
「人民網日本語版」2014年4月1日