蘭州大学核科学・技術学院放射化学・核環境研究所は、カーボンナノ粒子が胎盤を通過し胎児の体内に入ることを明らかにした。この結果、胎盤を傷つけ、胎児の心臓・脳組織を変化させ、さらには胎児の成長・発育を遅らせ、流産を引き起こすこともあるという。この研究成果は、科学誌「ネイチャー」の「Scientific Reports」に掲載された。中国科学報が伝えた。
同論文の筆頭著者である、同研究所の斉偉氏は、「同位体トレーサー法を用い、カーボンナノ粒子に胎盤を通過させることで妊娠中のラットに与える影響をモデルとし、カーボンナノ粒子の胎児に対する影響を調べた。その結果、カーボンナノ粒子は胎盤を通過し胎児の体内に入り、胎盤の損傷を引き起こすことが明らかになった。具体的には、プロゲステロンの分泌量が減少し、エストラジオールの分泌量が増加する。また胎盤内の血管の数が減少し、血管の幅が狭くなることで、胎盤の胎児に対する栄養補給能力が低下する。これにより胎児の心臓と脳組織に変化をもたらし、胎児の成長・発育の遅れ、さらには流産を引き起こすことがある」と説明した。
同論文の責任著者である、同研究所の呉王鎖氏は、「この成果は、カーボンナノ粒子が胎児にもたらす深刻な損傷を証明し、胎児・母体に影響を与えるメカニズムを解明し、大気中の極小微粒子(PM2.5など)が妊娠の障害となることを直接裏付けた。これは長期的に重度汚染地域に住む妊婦に警鐘を鳴らし、汚染が引き起こす妊娠中の疾患の治療に指導と提案をもたらした」と語った。(編集YF)
「人民網日本語版」2014年4月15日