為替操作の競争 毅然たる措置による抑制が必要
20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会は16日にモスクワで、「為替操作の競争を抑制し、さまざまな形式による保護主義に反対する」とする共同声明を発表した。新華社が伝えた。
しかし毅然たる措置により為替操作の競争を抑制しなければ、G20の共同声明は単なる空論に価値を下げるだろう。
金融戦争のリスクを評価する際、動機ではなく政策の結果に注目する必要がある。紙幣の大量印刷を行う国家は、他国を損ね自国の利益を創出し、金融戦争を仕掛けることを表面的な理由とはしない。ただ単に国内経済の刺激という「まっとうな」動機を強調し、同時に政策により生じる影響を自国の責任の範囲外に排除するだけだ。
火のないところに煙は立たないと言うが、市場の金融戦争に対する懸念は決して杞憂ではない。安倍政権は新年早々、米国・ユーロ圏に続き「無制限」の量的緩和を宣言し、円安が進行した。イングランド銀行(中央銀行)の関係者は16日、ポンド安を継続する必要があると表明した。
一部の専門家は、「米ドルとユーロは現在までに為替操作の競争を実施したことはない。米国は2008年の金融危機以降、量的緩和に取り組んできた。しかし米ドルは常にリスク回避の通貨とされており、大幅なドル安は生じていないため、金融戦争は存在しない」と指摘した。金融戦争の厳格な定義に基づけば、専門家の発言は一理ある。しかし理論は現実を離れることはできない。定義ばかりを論じても、人々の金融戦争に対する現実的な懸念を払拭できないのだ。
欧米諸国は印刷機を稼働させる際、常にそのタイミングを慎重に見計らっている。現時点では為替操作の競争は生じていないが、今後も生じないとは限らない。今後数年内、紙幣印刷のタイミングと規模が、常に「無制限」となる可能性がある。米国の上限なき量的緩和および債務上限引き上げ、欧州の「すべての代価を惜しまずユーロを守る」という姿勢、日本政府の関係者による円安が長期間継続されるという暗示は、「為替操作の競争」に対して薪をくべている。