中国不動産企業 東南アジアでの事業展開を模索中
ここ数年の間に、マレーシア、シンガポール、タイなどの東南アジア諸国に中国不動産企業の姿が見え隠れするようになった。タイの不動産協会「TREA」の代表によると、タイの不動産に最も早く投資したのは日本だ。最近は中国企業の評判が高まり、知名度も上昇しているが、市場シェアはまだ低いという。東南アジアでの事業展開を模索する中国不動産企業数社を取材したところ、東南アジアでの成功の道は、成熟した潜在力のある市場を選ぶこと、適切な協力パートナーを選ぶこと、品質によって評判を勝ち取ることにあることがわかった。「人民日報」が伝えた。
▽市場の成熟度、文化の接近度が投資の重要な指標
ジョホール海峡のマレーシア側に位置するゴールデンベイで、中国の不動産会社・碧桂園が開発する大型のハイエンド商住一体化プロジェクトがこのほど全面的に着工した。同社は昨年、マレーシア南部ジョホール州の州都ジョホールバルで5件の不動産プロジェクトに投資を行っている。プロジェクトの現場の様子をながめると、販売センターはまだ設置されていないが、臨時の展示エリアにはたくさんの見学者が訪れ、物件について問い合わせをしている。過去約半月で1200戸の物件が売れ、このうち60%は中国人が購入したという。同社の阮家声総裁(マレーシアプロジェクト総代表)によると、中国人が海外で不動産に投資する場合、海外の企業についてあまりよく知らず、やりとりの中で困難にぶつかることが多い。碧桂園などの国内大型企業は中国での地名度が高く、ブランド力で優位にあり、中国の顧客はこれらの企業を非常に信用している。またこれらの企業は中国国内のネットワークを通じて、海外で展開するプロジェクトを宣伝したり紹介したりするルートをもっている、という。
阮総裁によると、東南アジア諸国の文化や習慣は中国に割合近いため、中国の不動産企業のグローバル戦略配置では東南アジアが一番最初に足を踏み入れる地点となっている。中国不動産企業が海外で事業展開を模索し、新市場を開拓する時、「水が合わない」状況に遭遇するのはやむを得ないが、マレーシアなら文化面や政治面などで投資環境が優れており、企業の発展にプラスになる。碧桂園は今後、インドネシアやタイなどの市場にも進出する予定という。
万科集団は今年4月、シンガポール市場に進出した。同集団の代表によると、市場の成熟度が投資の有無を決定する重要な指標だ。シンガポールの不動産市場は規範化され、成熟しており、中国系住民の占める割合が高く、言語や文化が近く、中国企業の発展に向けた国際化戦略に合致し、業務展開を模索する上でも有利だという。
緑地集団は昨年末、タイのバンコクとパタヤで2件の不動産開発プロジェクトを行った。同集団によると、市場の潜在力が海外進出をめぐる重要な判断要素だ。タイは中国人観光客が多く訪れ、観光都市であるパタヤでホテル式マンションに投資しているのは、主に中国人観光客と現地の中国系住民のニーズに応えるためだという。