大気が存在しないため、月面ローバーは宇宙線に完全にさらされる。強い電磁波は遠隔操作システムを破壊する可能性があり、受信システムの最大受信能力に対して高い要求を突きつけている。厖氏は、「月は毎日、超新星や太陽嵐など大量の宇宙線を浴びる。宇宙線が月面に照射されると、極小規模の核反応が発生する。その結果、月面でも危険な二次放射線が発生することになる」と指摘した。
月面はでこぼこしており、石やクレーターが点在し、土壌は非常に柔らかだ。これは月面ローバーの走行効率を大幅に低下させる。低重力環境では摩擦力も弱まるため、月面ローバーは走行中にスリップしやすくなる。これは月面ローバーの制御システムに、高い要求を突きつけている。
また地球の10数日分に達する長い夜、300度以上の昼夜の気温差は、月面ローバーの「健康の天敵」になりうる。
厖氏は、「月探査は非常に複雑かつハイリスクな作業で、その過程で異常の発生は免れない。複雑な科学研究はいずれも荒波の中を前進するようなもので、宇宙探査ならばなおさらだ。人類は月やその他の地球外天体のことをよく知らず、また距離も遠く離れているため、探査の際には高いリスクを冒さなければならない。さまざまな試練を経て、多くの問題を克服して、初めて収穫が得られる。これは宇宙探査の魅力でもある」と述べた。(編集YF)
「人民網日本語版」2014年1月29日