中国科学院遺伝・発育生物学研究所の李巍氏が率いる研究チームはこのほど、第6染色体長腕D6S1009の隣に位置するSLC35D3遺伝子が、人類の肥満症およびメタボリック症候群を引き起こす遺伝子であることを発見した。北京日報が伝えた。
流行病学の調査によると、約3分の1の米国人、10−25%の欧州人が肥満症にかかっている。肥満症の発症率は中国でも上昇傾向にあり、すでに10%を上回っている。肥満症の発生は一般的に、遺伝子と環境の相互作用によるものとされており、主に食事で摂取するカロリーと運動で消耗するカロリーのバランスが破られることによって生じる。そのうち遺伝的要因によるものが約3分の2を占める。
これまでの研究によって、第6染色体長腕D6S1009は、肥満度を示すBMIと密接に関連することが証明されていた。李氏の研究チームが、その隣に位置するSLC35D3遺伝子に欠陥のあるラットを観察したところ、生後2カ月(人類の成人に相当)より肥満症とメタボリック症候群の特徴が見られるようになった。研究チームはさらに研究を進め、同遺伝子にコードされているたんぱく質の欠陥が、運動量の減少とエネルギー消費量の減少を招き、肥満症を引き起こすことを発見した。研究結果により、SLC35D3遺伝子は人類の肥満症およびメタボリック症候群を引き起こす遺伝子であることが証明された。
肥満症の治療と対策は長期に渡り、「口を閉じ、足を動かす」ことを強調していた。しかし今回の研究は、遺伝的要因が「動きたくない」という行為に加える作用を示し、薬によりこの行為異常をある程度修正できることを証明した。また今回の発見は、肥満症患者の同遺伝子変異の検査に活用でき、患者の状況に則した治療にとって重要な意義がある。(編集YF)
「人民網日本語版」2014年2月18日