日本のドラマ「電車男」の中で、主人公の山田剛司がネット掲示板で、「デートにはどんな服装で行ったらいいか」という質問を投稿すると、「ユニクロは絶対にNG」という返事が書き込まれるシーンがある。
しかしこの安くて実用性に長けた日本のファストファッションブランドの代表格であるユニクロが最近、「イケてる」ブランドに変わろうと努力していることにあなたも気付いているかもしれない。2014年5月5日に無料通話・無料メールアプリのLineとユニクロが共同開発したコラボUT(ユニクロのTシャツライン)が中国で発売開始された。このコラボUTにはLineの人気スタンプキャラクター、クマの「ブラウン」とうさぎの「コニー」の可愛い姿が印刷されている。発売から数時間後、このシリーズのUTは爆発的に売れ、多くの店であっという間に売り切れとなった。
ユニクロの関連部門の担当者は、「まだ具体的な数字は出ていないが、今シーズンのUTの売り上げは予想よりもずっといい。Lineシリーズが発売して数時間後には、多くの店で売り切れとなった。SPRZ NYにしても、i am OTHERシリーズにしても、発売と同時に高い人気を誇っている」と語る。
SPRZ NYはユニクロとニューヨークにある近代美術館(MoMA(モマ))が共同開発したコラボTシャツシリーズだ。伝説のストリートアーティストのキース・へリングを含むニューヨークの人気アーティストたちの作品をリ・デザインしたグラフィックが印刷されている。i am OTHERシリーズは、音楽プロデューサーのファレル・ウィリアムス(Pharrell Williams)を招いてデザイン開発したもので、個性的なコピーにシンプルでレトロな図案を配した欧米レトロムード満点の商品だ。
これらは、UTの既存のイメージを翻すものだ。グラフィックTシャツラインがユニクロから独立してUTブランドとなった11年前、これらの商品は流行しているキャラクターとブランドロゴを印刷した低価格Tシャツに過ぎなかった。
ユニクロを運営するファーストリテイリンググループの柳井正代表取締役会長兼社長は、UTの重点を工業化生産モデルに置こうとしていた。柳井氏は、グラフィックTシャツと材料の選択を組み合わせ、生産・配送から最後の販売までの完全なシステムを築くことで、ユニクロのTシャツ価格を大々的に下げることを実現させ、また絶えず様々なデザインを開発していくことで、多くの顧客を引き寄せることができると考えていた。