ユネスコ遺産と持続可能な発展に関する対話会が5月27日に黄山で開幕した。ユネスコの1946年の設立以来初めて、世界遺産・世界生物圏保護区・世界ジオパークの3つの遺産事業の管理者と専門家が一堂に会した。人民日報が伝えた。
◆宇宙技術の活用
ユネスコ世界自然文化遺産宇宙技術センター副センター長の王長林氏は、「宇宙技術には多くの内容が含まれる。リモートセンシング技術の他に、地理情報システム、GPSを代表とするナビゲーションシステム、レーザーレーダー、バーチャルリアリティ、ネットワーク高性能計算などの情報技術も含まれる。例えばリモートセンシング技術を始めとする宇宙技術は、多重時間・多種空間解像度などの大量の画像資料を収集でき、遺産リストのデータ収集、情報検索、スマート分析などの重要な手段になる」と説明した。
中国科学院リモートセンシング・デジタル地球研究所研究員の陳富龍氏は、「宇宙技術が力を発揮するためには、多学科の協力が必要だ。中国が初めて提唱したリモートセンシング考古学は、宇宙技術による文化財の発掘・保護の典型的な応用例だ。宇宙技術は遺産の持続可能な発展の面で力を発揮できる。まず、探査・発見だ。衛星、航空、地球観測レーダーなどの手段により遺産を発見し、スケーリング、幾何学的構造などの関連データを収集する。次に、観測・評価だ。長時間の観測を通じ、さまざまなデータの変化を把握し、外的条件の遺産への影響を評価する。頤和園を例とすると、宇宙技術を利用した長時間の観測により、自然の風化、観光客、都市建設などの要素の建築物への影響を知ることで、保護措置を講じることができる。最後に、データ保存だ。得られたデータを保存・分析することで、3Dデータによる再現を行う。人々はSF映画のように歴史遺産の内部に入り、細かい点を見て取れるようになる」と語った。
陳氏は、「遺産リストを宇宙技術によって保護すれば、利便性を大幅に高めることが可能だ。例えば一定時間後、ある建築物が損傷した場合、3Dデータにより、具体的に損傷のあった場所を特定し、修復することができる」と説明した。
ユネスコは2009年、中国政府が提案した世界自然・文化遺産宇宙技術センターの設立を許可した。同機関は中国科学院リモートセンシング・デジタル地球研究所の協力のもと設立された。現在はユネスコが世界に初めて設立した宇宙技術に基づく世界遺産研究機関となっており、ユネスコ加盟国の遺産リスト保護管理に重要な技術サポートを提供している。(編集YF)
「人民網日本語版」2014年5月29日