株式会社国際協力銀行(JBIC)業務企画室調査課の阿由葉真司課長によると、同社の最新の調査結果をみると、日本企業が海外投資で最も潜在力があると考える国のランキングで、中国が初めて首位から脱落して4位になり、インドネシアが首位に浮上したという。「中国経済週刊」が伝えた。
JBICは政策系銀行で、日本政府が政府開発援助(ODA)を対外的に実施する際の主要執行機関の一つだ。過去20数年にわたり日本企業に一連の同じ質問をし、企業の回答から日本企業の投資の最新動向をくみ取っている。年度調査報告は業界でしばしば日本企業の海外投資をながめる重要な窓口とされ、日本政府が対外経済政策を制定する場合の有益な参考資料とされている。
最新の調査報告が完成した後、阿由葉課長は次のように述べた。2013年以降、日本の製造業の対中投資はピークを過ぎた。日本企業の20数年にわたる中国で生産し、海外に再輸出して販売するという対中投資モデルが重大な転換期を迎えている。
▽投資ピークを過ぎたことは撤退の始まりではない
阿由葉課長は次のように述べた。ここ数年、中国は労働力コストが上昇し、日本企業の予想の範囲を超えた。中国はもはや安価な労働力が豊富にある国ではない。調査結果によると、中国を第一の投資先と定めない日本企業が出てきた主な原因として、中国の労働力コストの上昇と労働力を確保することの難しさ(41.2%)、他社との競争の激化(20.6%)、中国経済の減速(26.0%)、中日の政治関係の動き(12.2%)などが挙げられる。
もう一つ重要な原因がある。JBICが調査した日本企業のうち、77.9%が中国に工場を1カ所以上建設しており、華東地域と華南地域に1カ所ずつ建設しているという企業も少なくない。実際、日本の企業で中国に投資できる力のあるところはほとんどがすでに投資を行っており、対中投資が新たに増える余地は徐々に小さくなっている。
日本企業の対中投資はピークを過ぎたが、これは撤退が始まったということではない。阿由葉課長によると、調査を行った企業のうち、中国業務を縮小する、あるいは中国から資本を引き上げるとしたところは3.5%にとどまった。「中国業務が縮小した」などと言われているが、調査対象になった日本企業によれば、最近の中国業務の調整・整頓の過程で、中国各地に分散していた工場を1カ所に集中させる計画があり、数字の上では中国業務の項目数は減少したようにみえるが、投資規模にはそれほど変化はない。労働力コストの上昇により最終的に中国から撤退するとした日本企業は、調査全体で1%もなかったという。