シンガポールで行われていたアジア安全保障会議はすでに閉幕したが、会議で焦点となった問題は今なお続いている。中国人民解放軍の王冠中副総参謀長が会議で行った基調講演を受けて、国際社会は中国のアジア安全保障観に再び注目した。中国新聞網が伝えた。
先月21日、アジア信頼醸成措置会議(CICA)首脳会議が上海で開かれた。中国の習近平国家主席は基調発言で、共通、総合、協調的、持続可能というアジア安全保障観について明らかにし、協議と交渉によって溝や紛争を解決し、新たな地域安全保障協力枠組みを構築する方針を強調した。
ロイター通信は習主席の発言について「中国には外国の懸念を和らげる狙いがあり、海洋権益紛争において中国が他国の安全を犠牲にして自らのいわゆる絶対的な安全を追求することはないと強調した」と論評した。ブルームバーグも「近隣国との領土紛争への対処過程において、中国のソフトパワーの働きが日増しに顕在化している」と指摘した。
だが6月初めのアジア安全保障会議で、日本の安倍晋三首相と米国のヘーゲル国防長官は、南中国海における中国の一方的な行動、主権宣言が不穏な情勢を招いたと、調子を合わせて非難した。ヘーゲル長官にいたっては「南中国海地域の安定を破壊した」と中国を公然と非難したうえ、「国際秩序が脅かされた場合、米国が無関心であることはない」と警告した。インド紙エコノミック・タイムズは米日の姿勢は「激しい剣幕」であり、アジア太平洋の安全保障に緊張した雰囲気をもたらしたと報じた。
王副総参謀長が発言で「来りて往かざるは礼に非ざるなり」と述べた通り、中国側は米日のいわれなき公然たる挑発と非難に果断に応じた。英BBCは「中国の傅瑩全人代外事委員会主任委員は、安倍首相について『地域の安全を脅かすことで日本の安全保障政策を見直そうと図っている』と非難した」と報じた。ザ・ディプロマット電子版は「ヘーゲル長官の講演は覇権主義臭に満ちており、中国に対する挑発だ」との王副総参謀長の発言を引用した。
王副総参謀長は「アジア安全保障観を確立し、アジア太平洋の素晴らしい未来を共に築く」と題した基調講演で、中国のアジア安全保障観について集中的に説明。他国への内政干渉に反対し、地域の安全保障問題の独占をいかなる国が図ることにも反対し、第三国を念頭に置いた軍事同盟の強化に反対するとの中国側の立場を強調した。